日本の厚生労働省によると、「健康寿命」とは「介護を受けたり、病気で寝たきりにならず、自立して健康に生活できる」年齢のことなのだそうだ。日本の場合、平均寿命と健康寿命との差は男性で9年、女性で13年ほどあるという。この差の間が「介護を受けたり、病気で寝たきりで、自立して健康に生活できない」期間になるわけだ。
 ということは、平均的な私たちは晩年の約10年前後は誰かしらの力を借りなければ生きられないということなのだ。豊かな老後と充実した生涯を送るためには、健康寿命をどれだけ延ばせるかがポイントになる。
 国民の高齢化にともなう介護予防の重要性を受け、日本では新たに70歳以上の人を対象に、国が高齢者の健康維持に欠かせない骨や関節などの衰えを防止する軽い運動なども取り入れた運動指針を定め、推奨するようにしたそうだ。
 介護生活は当人だけでなく、その家族にまで負担をかけるもので、誰もが避けたい事態だ。
 とはいうものゝ、どれだけ気をつけても、生きている限り私たちは齢をとり、老化は進む。そして怪我や病気による寝たきりリスクは高まっていく。こればかりは避けられない。
 今の季節が旬な柿をとり入れた諺に「青柿が熟柿弔う(あおがきがじゅくしとむらう)」というのがある。まだ熟していない元気な青い柿が、遠からず自分も同じ運命にあることに気付かずに、熟して先に木から落ちた赤い柿を見て同情することをいう。今は元気で動けても、やがて介護の世話になるかもしれぬ、ということは私たち誰もが認識しておかねばならぬ。
 ところで、私自身はどうかというと、実は透析、血糖値管理、がん手術後の諸内臓チェックなどに日々を費やしており、家庭内での介護と外出時の運転手段は妻に全面的に頼っているので、もはや健康寿命中とはいい難く、青柿から熟柿に限りなく近付いている状態だ。
 熟柿に近付いてから健康寿命の重要性に気づいても、少々手遅れかもしれないが、これ以上悪くならないために、気力は衰えないようにし、精神的な健康寿命について認識を強く持とうと思っている。【河合将介】

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