昨年12月にコネティカット州の小学校で26人が犠牲になった乱射事件をきっかけに、銃規制強化を求める動きが全米で加速している。他州に比べ厳しい銃規制を敷いている加州でも、民主党を中心に法の抜け穴をふさぐための法案が続々提出されており、今後、議会での審議が加速するとみられる。
15日には、州レベルで初となる規制強化法案がニューヨーク州で成立。精神障害者を対象とした銃購入規制や、殺傷能力の高い攻撃用銃のインターネット販売禁止、銃弾購入者の身元調査の義務化など、銃だけでなく銃弾購入者や精神障害者への規制が強化された形だ。
また翌日には、オバマ大統領が連邦レベルでの規制強化案を発表。銃購入者すべての犯罪歴などの調査を義務化させると同時に、身元調査のシステム強化、殺傷力の高い攻撃用銃の販売禁止、米疾病予防管理センター(CDC)による銃関連の犯罪や自殺などの調査再開、銃所持者の自己管理責任強化、緊急時に備えた学校の安全強化など23項目の対策を提案した。
一方加州では、殺傷力の高いアサルト・ライフルや弾倉に銃弾10発以上を装填(そうてん)できる銃の販売はすでに禁じられている。しかし、さらなる規制強化を求めた法案が上下両院で提出されており、規制に向けた議論は高まるとみられる。
ステインバーグ上院臨時議長は、「攻撃用武器に関して、加州の法律には多くの抜け穴がある。コネティカット州での銃撃事件をきっかけに、さらなる規制強化が必要」と訴えている。
サンフランシスコのリーランド・イ上院議員は、軍用武器のように弾丸の再装弾が敏速に行える装置の使用を禁じた法案SB47を提出。バークレーのナンシー・スキナー下院議員は、弾丸販売者を認可制にし、購入者にはIDの提示を義務づける内容の法案AB48を提出した。
この他、ロサンゼルスのポール・クレコリアン市議は、大量の銃弾を装填(そうてん)できる銃創の販売を禁ずる案の調査申し立てをするなど、市レベルでも動きが活発化している。
一方共和党議員からは、ニューヨーク州の地域新聞が銃所持の許可を受けた3万人の住所や実名を公表したことを受け、銃所有者のプライバシー保護を求める法案が提出された。
コスタメサのアラン・マンスール下院議員とリンダのダン・ローグ下院議員は、「責任を持って銃を所持している人の個人情報は外部に公開されるべきでない」として、警察当局以外の人に銃所有許可を受けた人の個人情報公開を禁ずる内容の法案AB132を共同で提出した。
しかし民主党員が3分の2を占める加州の上下両院では、これら共和党員から提案された法案が可決される可能性は極めて低いと見られている。