この夏、ねぶたと竿燈(かんとう)見物の東北ツアーに参加した。
 梅雨が明けて旧盆前の8月初旬、東北各地は祭りでにぎわう。中でも、青森ねぶた、秋田竿燈、仙台七夕、山形花笠が、東北4大祭りといわれる。今回は、夫のどうしても見たかった青森ねぶたと、隣県の秋田竿燈を訪ねることにした。
 歴史・伝説上の場面を針金と紙で立体的に作り極彩色で仕上げた大型ねぶたは、幅9メートル奥行き7メートルもの大きさで、構想から完成まで一年がかりとか。その力強い色合は、地元出身の板画家、棟方志功にも大きな影響を与えた。この大型ねぶたが20基以上、そのほかに数多くの町内ねぶたや子供ねぶたが出て練り歩くと、夕闇の町は原色の光で彩られた。ねぶたの前後には、鉦・笛・太鼓の囃子方が付き、跳人(はねと)と呼ばれる人々が大勢、「ラッセラー」の掛け声で飛び跳ねた。
 祭り会場は全国各地からの見物客でいっぱいだった。が、それ以上に目についたのは、地元の小さな子供や若者たち。母親も、乳母車の赤ん坊も手をひかれた子供も、跳人の衣装を着けてぞくぞくと祭り会場を目指していた。地域の人々が一体となって祭りに参加する情景が、印象に残った。
 翌日の秋田竿燈は、250本以上の竿燈が光の海を作ってうねり、見事なものだった。46個の提灯を高々と吊るした竿燈は、稲穂を模しているという。重さ50キロにもなるその竿燈を、高々と片手で支え、時には額または肩、腰で支えると、「どっこいしょっ」と各席から声がかかる。風にあおられ竿燈が客席に倒れかかれば、より近くで見る竿燈にスリルさえ感じる。
ここでも、印象的だったのは子供たちの参加だ。子供竿燈は大人のそれに比べると提灯の数は半分、重量もそれほどはない。とはいえ、バランスをとって一人で支える難しさは変わりない。大人の指導の下に練習を積み重ねたといい、竿燈を上手に支えて客席からの拍手を受けると、嬉しそうな笑顔を見せていた。
青森ねぶたと秋田竿燈。地域ぐるみの祭りは確実に次の世代に継承されることだろう。暑い日本だが、東北は祭りが熱い。【楠瀬明子】

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