酷暑続きで、悲鳴を上げた今夏の日本。干ばつや大型台風による豪雨、洪水、竜巻などの天災にも見舞われ、各地で甚大な被害をもたらした。犠牲者の冥福を祈りたい。
 一方、われわれが暮らしている南カリフォルニアは、幸いなことにここ数年、涼しく快適な夏を過ごしてきた。四季がないといわれる当地だが、2月、3月には桜が咲き春の訪れを告げ、そして今のこの時季は、朝晩が冷え込み、日が落ちるのが早くなり退勤時にオフィスから出ると外が真っ暗になるなど、季節の変わり目をほんの少し感じさせてくれる。
 日本で秋といえば、芸術、読書、食欲、スポーツなどが挙げられる。特にスポーツでは、2020年の東京五輪の開催が決定し、列島が沸いた。東日本大震災の後、世界に向けた最も明るいニュースだけに、復興をアピールする最大のチャンスを得たことがうれしい。そして、プロ野球では被災地の東北楽天が球団創設9年目でリーグ初制覇し、被災者に勇気を与えた。日本一になれば経済が潤うので地元の復興は、さらに早まるに違いない。
 アメリカでは今、プロスポーツが真っ盛り。アメフトが開幕し熱い戦いを繰り広げている。そして日本人選手の多くが活躍を見せた大リーグは、レギュラーシーズンがほぼ終了し、ポストシーズンが間もなく幕を開け、佳境に入る。地元では、エンゼルスは大枚はたいた選手の大型補強が実を結ばず、下位に沈み残念な思いをする人が多いだろう。だが、ドジャースは春先のスランプがうそのように、投打が噛み合い尻上がりに調子を上げ、4年ぶりの西地区優勝を遂げた。ワールドシリーズまで上り詰める勢いがあり、目が離せない。
 この秋はまた、「オバマケア」と呼ばれる国民皆保険を目指した医療保険制度の大改革がなされようとしている。医療と保険には、できるだけお世話にならないようにしなければならない。食欲増進の秋だが食べ過ぎに注意し、適度な運動で健康を維持し、日本文化にいそしむもよし、芥川賞、直木賞、ノーベル賞の名作に読みふけるのもよいだろう。芸術、読書、食欲、スポーツ、その他、思い思いの秋を堪能してもらいたい。【永田 潤】

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