新美潤総領事(右)から表彰状を授与される比嘉さん
新美潤総領事(右)から表彰状を授与される比嘉さん
 在ロサンゼルス日本総領事館は、日本語学校「羅府上町第二学園」の元理事長で、沖縄民間大使と沖縄語講師としても活躍する比嘉朝儀さんに対する総領事表彰を11月26日、総領事公邸で行った。比嘉さんは、日本文化および沖縄言語を含む沖縄文化の普及と伝承に熱心に取り組み、日本の多文化性を示す重要な役割を果たしたことが認められた。
笑顔で謝辞を述べる比嘉さん
笑顔で謝辞を述べる比嘉さん
 比嘉さんは1940年、沖縄県中頭郡中城村生まれ。普天間高校卒業後、60年ロサンゼルスに住む叔父の支援を受け渡米した。「日の出豆腐」社で勤務しながら勉学に励み70年、ウッドベリー大学で国際貿易を専攻して学士号を取得。その後ラッキーストア(現アルバートソン)に入社、2001年に定年退社するまで勤めた。奉仕は長年にわたり、さまざまな日系団体で積極的に活動した。85年から3年間、羅府上町第二学園理事長を務め、日本語教育と日本文化の普及に尽力した。
 2002年から通算5年間、北米沖縄県人会会長を務めた。沖縄文化の原点であり、正しい歴史や伝統文化の理解にも欠かせない沖縄語が、絶滅の危機に瀕している現状に危惧し「ウチナーグチ(沖縄語)教室」を開設した。さらに、県人会の基盤を築いた1、2世に敬意を表し、会員の高齢化に対応し「高齢者クラブ」を設置。また、講演会を開催して中高生、大学生や大学教授、一般を対象に琉球の歴史や沖縄語の講義を行い、沖縄文化に対する学習に力を注いだ。
 06年に沖縄県で開催された第4回世界のウチナーンチュ(沖縄の人)大会において、米国と沖縄との懸け橋の役割を担う「新ウチナー(沖縄)民間大使」に認証された。09年には会長在任中に、北米沖縄県人会創立100周年記念の一環行事を1年を通して挙行し、成功に導いた。
 02年に、南加県人会協議会に入会、同年に理事に就任。05年から3年間、書記を07年から4年間、副会長を務めた後、11年に会長就任。会長在任中に東日本大震災が起こり、被災地の復興支援の義援金募集活動に全力を注いだ。
 表彰式では、総領事と柴邦夫さんが祝辞を述べた。各人が比嘉さんの各分野での功績を誉め、さらなる活躍に期待を寄せた。
 総領事は「日系社会から厚い信頼を受けていて深く敬意を表したい」とねぎらった。比嘉さんの数々の活躍を列挙し「特に沖縄文化普及へのたゆみない尽力は、当地の日本の多文化性という意味で、たいへん重要な役割を果たしたと確信している」と賛辞を呈した。柴さんは「比嘉さんの誠実さ、謙そんさを尊敬している」と、日系社会全体の声を代弁するかのように、真面目で控えめな性格を言い表した。「教育熱心で沖縄県人会会長の時に沖縄語教室を開き、講師を熱心に務めている。信念を持って12年もの間、教え続けている。心からお祝いを述べたい」と、たたえた。
総領事表彰を祝い乾杯する(左から)比嘉さん、夫人の博子さん、長男朝博さん、次男ベンさん
総領事表彰を祝い乾杯する(左から)比嘉さん、夫人の博子さん、長男朝博さん、次男ベンさん
 比嘉さんが、謝辞を述べ「このような晴れがましい席に呼ばれて、表彰され感激の極み」と素直に喜んだ。日系社会でボランティア活動を通し、さまざまなことを学んだといい「多くの出会いがあり、多くのことを学んだ。今日ここ(謝辞)に立っているのも日系社会の多くの方のおかげで感謝したい」と述べ、支え続けた妻博子さんと、長男朝博さん、次男ベンさんへ「『ありがとう』と言いたい」と家族への感謝も忘れることはなかった。長年の活動について「私がやってきたことは、日米間の相互理解と友好親善促進の一助になれれば幸い。微力ながら今日の表彰を胸に納め、これからも皆さんの役に立つことができるように精進したい」と、決意を新たにした。
 表彰式に参加した比嘉さんと同郷の当銘貞夫さんは、同県人会でともに活動する。同士の表彰を「真しに物事にあたり、何事も一生懸命する。各分野でリーダーシップを発揮し、尊敬している。ウチナーンチュみんなのロールモデルであることは間違いない」と称賛。ウチナーグチについては「教え方がうまく、日本語と英語を交え、分かりやくウチナーグチを教え、長く継続していて頭が下がる」と述べた。
 比嘉さんは、日系社会の仲間から祝福を受け「決して私1人でもらったのではない。大勢の人と家族の支援のおかげで、自分の体が許す限り頑張りたい」と意欲を示した。沖縄語教室については、沖縄を知らない4世が、沖縄に興味を持ち自身のアイデンティティー探求のために沖縄に行くことが何よりもうれしいといい「開講してよかった。今日まで続けてきた甲斐があった」と感慨深げに話した。来年、県人会協議会が創立50周年を迎え、その実行委員長を任された。9月の祝賀記念式典開催と記念誌発行に意欲を示す。大きな節目は「県人会協議会と県人会の在り方を考えるいい機会である。100年に向かってみんなで頑張りたい」と抱負を述べた。【永田潤、写真も】
表彰式に臨席した家族や親友とともに記念撮影に納まる比嘉さん(前列左から3人目)
表彰式に臨席した家族や親友とともに記念撮影に納まる比嘉さん(前列左から3人目)

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