国旗は、まさしくその国の象徴である。アメリカの国旗は、ご存知のとおり、赤と白のストライプの数が13あり、独立した際の13州の数を表し、左上の青をバックにした白い星の数が50あり、現在の州の数を表している。
 明確な証拠が見つからないという批判的な意見もあるが、アメリカの国旗を初めて作った人物は、フィラデルフィアの裁縫師であるベッツィー・ロスといわれている。
 独立戦争時にイギリスと戦ったアメリカ大陸軍のリーダーであったジョージ・ワシントンが、大陸会議の幹部ロバート・モリスとジョージ・ロスの2名を引き連れて、ベッツィーの室内装飾の店を訪ねた。
 独立宣言に署名した一人であるフランシス・ホプキンソンによって鉛筆でスケッチされた、六角の星を含んだラフの国旗のデザインを見せた。彼女がハサミでチョキンと布を切って簡単に五角の星を作成して見せると、彼らは大いに感銘を受けたらしい。そして、彼女に頼み、修正し、縫製し、アメリカの初めての国旗が誕生したらしい。13個の星が円形を描いている国旗だ。
 ロバート・モリスは、広大な土地を所有する大富豪で独立戦争の財政を担当。ジョージ・ロスは、フィラデルフィア出身の軍人で、ベッツィーの亡くなった夫のおじさんであった。ベッツィーは、叔父を知っていたばかりではなく、ジョージ・ワシントンとも面識があり、彼の服の寸法直しもしていた。
 ベッツィーは、二人の夫を戦争で亡くした。3度目の結婚をし、7人の子供を授かり、84歳まで生きた。
 母国(Motherland)というぐらいだから、強い母親のイメージと重なるベッツィーが国旗の生みの親と信じたいのが国民心情だろう。
 諸説はあるが、アメリカの星条旗の青は忍耐力、正義と天を、赤はたくましさ、勇気と母国であるイギリスを、白はイノセンス、真実と独立を象徴しているらしい。同じ3色を使うイギリスの国旗ユニオン・ジャックからの影響は事実であろう。
 ちなみに、州が増えるたびに、星の数も増える。これまでデザインの変更が一番多い(27回)国旗がこのアメリカの星条旗らしい。
【長土居政史】

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