今キャンプ前半は、あいにくの南カリフォルニアの短い雨期と重なった。室内練習を余儀なくされ、ドジャー球場での練習も流れてしまった。だが、選手は精力的にメニューをこなし、交流3試合の相手は、ベストメンバーではないものの地元の強豪USC(3―1)とUCサンタバーバラ(1―2)、昨年の全米王者UCLA(2―1)を相手に勝ち越した。
中村奨吾主将によると、選手たちは滞在中、大リーグ機構が運営するアーバン・ユース・ベースボールアカデミーで練習し、2面ある天然芝の大きなフィールドなど、恵まれた環境の下で、調整に努めた。試合では米国選手の体格の大きさ、パワー、スピードに驚いたという。
今秋ドラフト1位候補のエース有原航平は、USC(先発し3回3分の0、1安打無失点)と、UCLA(救援し3回無安打無失点)の2試合で好投した。日本と比べ、米国の滑りやすいボールについて「速球、スライダーは上手く投げることができたけど、チェンジアップが滑って投げ辛かった」といい、握りを少しだけ深くして対応。硬いマウンドは、体重を後ろに長く残して投げたという。米打者については「初球からどんどん振ってくるので、甘い
早大相手に先発登板したUSCのシーン・シルバは、5回を投げ2失点。「ワセダの打者は選球眼がいいので、ボール球に手を出さず、球数が多くなってしまった。速球、変化球ともにうまくコンタクトするので、アウトを取るのが難しかった」と評価した。自身については「国際試合は初めてだったので、いい経験になった。メジャーが僕のゴールなので、今夜の経験を生かしたい」と述べた。
岡村監督は、米国の野球の印象を「シンプル。バッターは、バットを振る。ピッチャーは、思い切り投げ込む。野球の本質の『力対力の勝負』を感じた。全力で走り、勝利に対する執着心を感じた」と述べた。練習を見ては「打っては低い打球を飛ばし、目の高さに合わせてしっかりバントし、基本に忠実だった。選手には、見習うように指導した」という。3試合に勝ち越し「今年最初のゲームだったが、名門の実力のあるチームとできたのはいい経験になり勉強になった。ありがたい」と話した。視野を広げた選手たちに「日本にはいないタイプの選手と対戦し、適応力を高めることが大切だと分かったと思う。長時間の移動などストレスを感じたが、この貴重な経験を生かし、タフになってほしい」と期待を寄せた。
野球部一行は、元大リーガーのトム・ハウス氏の講話を聴いたり、元ドジャースオーナーのピーター・オマリーさんからディナーに招かれ激励されるなど、刺激を受けた様子だった。また、早稲田大学の同窓会LA支部が開いた歓迎会にも参加した。当地で世話になったこれらの人々への恩返しは、優勝が一番だと自覚しており、日本一奪還を誓った。【永田潤、写真も】