この度、第二子を授かり、もうすぐ出産予定日。様子を見ながら、予定日の一週間前まで働き、3ヵ月後に職場復帰予定だ。周囲の働くママ友を見れば、みな同じような経験をしている。
 取引先などへ事情説明すると、出産直前まで働き、わずかの期間で復帰するというのは、日本からの駐在員には強行スケジュールのようでかなり驚かれる。しかし、自営業や零細企業に勤める友人などは「3カ月も休めていいね」と羨ましがられる。
 企業の経営者は、「現在日本の育児休暇は1年半ですが、3年という案もある。3人出産したら9年休まれる。かないません」と正直なご意見も。アベノミクスの3本の矢として、経済再生には女性の活躍が欠かせないという視点から、女性の社会進出を促し、さらに少子化への歯止めをかける狙いで育児休暇を現在の1年半から3年へ延長する案がでている。
 これには賛否両論で、どちらかといえば否定的な声が多い。そもそも3年後に職場復帰したところで、変化の著しい現代社会で、職場のメンバーや仕事内容も大きく変わっている可能性が高い。そこに、新人同様に復帰しても、企業にとっても本人にとっても負担になるだけという。
 実際に導入した企業でも、利用者が少ないため、2年に短縮した例もある。3年に延長するよりも、待機児童をなくすために保育所の認可制を見直すとか、もっと働く女性が切実に改善を希望していることがあるはずだ。
 実際に出生率や待機児童の数は、4年前に筆者が第一子を出産したときとほとんど変わっていない。さらに人口減少については、10年以上も前から指摘されていたのに、現在に至っても有効な手立てがないのだ。
 男性の長時間労働や育児休暇の取りづらさ、職場での理解が足りないなどさまざまな問題があり、サポート制度も増えつつあるが、それよりも社会全体で子供を育てるという理解が足りないのが一番の問題ではないか。その啓蒙活動にもっと予算を組んでもらいたい。【下井庸子】

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