日本の若者の目にはどう映っていたのだろうか。
 W杯予選で敗退したサッカー日本代表選手や、STAP細胞の論文が白紙撤回された小保方晴子さんが、マスコミを中心に世間から猛烈なバッシングを受けていた姿を眺めていて。
 日本代表選手も小保方さんも弱冠20代、30代の若者たち。日本人としては珍しく世界の第一線で活躍し、将来もまだまだこれからだ。
 しかし、今回、彼らは持ち上げられるだけ持ち上げられ、期待された結果が出せなかったことでドスン! と急に地面に突き落とされた。立ち直るのも容易ではないような、再出発も難しくさせるかのような批判の言葉の数々が彼らを襲った。
 私は日本のマスコミや、それに追随するかのように市民から生み出されるこのような風潮に警鐘を鳴らしたい。それは、これから何かにチャレンジしようとする若者たちを委縮させ、彼らの意志や未来の可能性を摘みとってしまわないだろうかと心配になるからだ。
 実際、日本の若者は安定を求める傾向が強く、リスクを避け、内向き志向にあるといわれて久しい。
 例えば、2011年に外務省が行ったグローバル人材育成会議の報告書によると、海外へ留学する日本の若者は04年の8・3万人をピークに減り続け、09年には29%減の6・0万人へ。特に米国留学の減少が著しいそうだ。また、新人社員に向けたアンケート調査では海外での勤務を希望しない人たちが増えているという。
 理由は、外国に行かなくとも豊かな生活ができる、経済的な問題、就職活動への影響などさまざまだ。しかし、根底に流れている本当の理由は、人と違うことをし、挑戦しても結果がでず、批判され、再出発しづらいのではという不安なのではないか。
 日本の若者がチャレンジ精神をもって羽ばたいていくためには何が大切か。それは、結果ではなくプロセスを重視する環境、挑戦する人を応援する環境、失敗してもまた再びチャレンジしやすい環境を社会全体で作っていくことだと思う。
 私は、サッカー日本代表と小保方晴子さんが今回の教訓を生かして、今後さらに活躍してくれることを同世代として心から応援したい。【中西奈緒】

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