第74回「二世週祭」の実行委員長、岡本雅夫さん
第74回「二世週祭」の実行委員長、岡本雅夫さん

第74回「二世週祭」のリーダーとして世界最大の日系夏祭りを力強くけん引するのは、東京都出身の新一世、岡本雅夫実行委員長。今年の祭のテーマ「レガシーの継承・継続は力」の下、先人が南加日系社会に残してくれた伝統文化を、「祭」という形を通じ、後世だけでなく、多様化する南加の各コミュニティーに紹介する使命に燃える。新一世委員長とあり、日系人と日本人のさらなる絆の深まりにも期待が寄せられている。注目すべき岡本委員長を紹介する。【中村良子、写真も】

独学で英語を勉強し、アメリカ文化に興味のある父親のもと、東京都で生まれた岡本委員長。高校生の時、父親の仕事の関係で約2年間ニューヨークで過ごすも、英語がまったく分からず、「当時はアメリカ生活が時間の無駄としか思えなかった」。
アメリカでの経験が自身に浸透してきたのは帰国後のこと。英会話部(ESS)のリーダーを務めるようになり、英語のスピーチや弁論大会などにも積極的に参加するようになった。
早稲田大学卒業後、清水建設に入社。81年にロサンゼルス支局へ赴任し、その後営業所長として約20年間勤め、退職。2000年4月に「M. Okamoto & Associates, Inc」を起業した。

日系リーダーとの出会い

日系社会との出会いは、81年の赴任時にさかのぼる。自身のオフィスの隣に事務所を構えていた日系社会のリーダーの1人、トム・亀井さんに連れられ参加した「The Mayor’s Little Tokyo Community Development Advisory Committee」(現、小東京協議会)が始まりだった。そこで小東京を取り巻く開発事業について学ぶとともに、小東京を愛する多くのリーダーに出会った。
05年、二世週祭に青森県のねぶたを呼ぼうと準備をしていたフランシス・橋本さんらに呼ばれ、ねぶた実行委員会を通じ、二世週祭とかかわりを持つようになる。日本とアメリカの両文化を理解する岡本さんの存在を高く評価した橋本さんが推薦し、08年、二世週祭実行委員会の役員メンバーに就任した。

日系・日本社会の橋渡し

日系人と日本人のさらなる絆の深まりにも力を入れる。両者の間には昔から「見えない壁」があるといわれ、付かず離れずの距離感を保っている。岡本さんは、価値観やライフスタイルの違いを挙げ、両者が完璧にひとつになるのは難しいと理解する。
しかし、亀井さん、橋本さん、そして現在、日系社会の若者にその歴史や文化、コミュニティーとのつながりの大切さを教育する非営利団体「キズナ」の役員を務める次女の実希さんらを通じ、南加日系社会に自身の「ホーム」を見つけたという経験から、不可能ではないと両者の橋渡し役を担っている。

さまざまな客層惹きつける

09年に初披露された地元の小学生らが参加して作る「子どもねぶた」やギョウザ早食い競争などを通じ、非日系社会からの参加を促し、日系社会との絆を深めていると実感している。
今年はギョウザ早食い競争とともに、今アメリカでブームとなっているラーメン・フェスティバルを開催する。地元ロサンゼルスのラーメンを試食できるとあり、すでに注目を浴びている。
歴史あるイベントを長年支えてきた有能な先輩リーダーたちに囲まれ、やりがいと使命感を持って準備に取りかかる岡本委員長。より多くの人に南加日系社会の素晴らしさを知ってもらいたいと、伝統ある祭への参加を広く呼びかけている。

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