参加者約130人が堪能した「南アフリカ・アドベンチャー」
参加者約130人が堪能した「南アフリカ・アドベンチャー」
 東サンゲーブリエルバレー日系コミュニティーセンター(ESGVJCC、フィリップ・コマイ会長)は、活動資金集めのためのファンドレイジング・ディナーを11月15日、同センターで催した。アフリカを旅して民族料理を学んだ元フレンチシェフの佐藤了さんが、腕を振るい参加者約130人に振る舞った。

イベント用の料理を作る佐藤了(左)・芳江さん夫妻
イベント用の料理を作る佐藤了(左)・芳江さん夫妻
 佐藤さんは、世界料理オリンピック・ドイツ大会(1980年)に米国代表として出場し、団体で金メダルを獲得した。ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスの有名店に引き抜かれ、シェフを務めた経歴は輝かしく、米国政府の外交交渉などでも料理を担当。迎賓でサッチャー元英国首相、ゴルバチョフ元ロシア大統領、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領、アンドリュー英国王子に提供したことを誇りとする。 アーケディアに23年間営業した店を閉めた後も、芳江夫人とともに各種料理イベントを企画し、日系非営利団体の支援を惜しみなく行う。
 6月に約3週間かけて、5カ国を訪れたアフリカでは、現地の料理を食べて学ぼうとしたが「有名な元シェフがやって来る」と、料理専門学校で講習依頼があり、指導を行った。約60人の若い未来の料理人の熱意に応え、多忙な日々を過ごしたという。一流ホテルを視察してシェフとも交流。アフリカ料理の調理法は「温かく迎えてもらった」という2つの家庭で主に習い、同イベントで忠実に再現した。
 晩餐会でコマイ会長があいさつに立ち、佐藤夫妻の同センターの社交ホールの建て替え時の建設費用捻出や、数種類のゲイラナイトを開くなど、さまざまな奉仕を称賛し「さまざまな形で献身してもらい、とてもありがたく思う」と謝意を表した。63年の歴史を持つ同センターのさまざまな日本文化のプログラム―日本語学校、太鼓、武道、盆踊り、餅つきなど紹介し「今後も日本文化を軸とした活動を継続し、地域社会に貢献したい」と抱負を話した。
コマイ会長(右)と握手するアフリカ料理を提供した佐藤さん
コマイ会長(右)と握手するアフリカ料理を提供した佐藤さん
 佐藤さんによると、アフリカの料理は旧宗主国のフランスなど欧州各国や近隣国インドなどの影響を受けているという。諸外国の文化に押され、料理の民族色は薄まり、イナゴなどの虫料理が食べられなかったことが心残りだとした。だが、香辛料のコリアンダー、クミン、カルダモン、シナモン、サフラン、ターメリックなどをふんだんに用い「和食のしょうゆ、塩、さとう、味噌などと同じで、料理の基礎になるアフリカの伝統を感じた」と述べた。
 同夜のイベントは「南アフリカ・アドベンチャー」と銘打ち、料理に添えられる形で、夫妻が撮影した写真とビデオが披露された。象やライオン、シマウマ、サイなどの野生動物が迫ってくるような躍動感溢れる写真が並び、参加者は冒険気分を味わった。作品はオークションに掛けられ、売上げは活動費に充てられる。同イベントに関し佐藤さんは「写真が誉められずにさみしい」と冗談気味に悔しがったが「『おいしい』と言ってもらい、うれしかった」と料理人としての至福の喜びを味わい、今後も料理を通じた同様のイベントで社会貢献する考えを示した。
 同センターの詳細は、電話626・960・2566。【永田潤、写真も】

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