お花見シーズンや風薫る初夏に訪日する人は多い。「親が生きている間に、できるだけ会いに行きたい」と言う人の話を聞くと、ほとんど例外なく、親とは母親のことだ。母が亡く、父親だけなら子らの訪日意欲は半減するのかもしれない。母は、正に強し。
 川柳に、「孝行の したい時分に 親はなし」という句がある。また、漢詩に「樹、静かならんと欲すれども 風止まず。子、養わんと欲すれども 親待たざるなり」とあり、「風樹の歎」(ふうじゅのたん)としてよく知られている。こうした詩句にある親のイメージとして、母親を思い浮かべる人のほうが圧倒的に多いようだ。
 5月10日は母の日、6月21日は父の日だが、どちらが大切かというVisiting Angeles社の世論調査(既婚男女300人を対象)によると、78%が母の日を選択。そして83%はその日に母親を訪ねると答えている。さらに、母となった娘たちの57%は「母の日は、自分のことより母親のために使う」と答え、息子たちの39%も「妻よりも、自分の母親のための母の日だ」との考え。
 一方で、母の日をどう過ごすかに、多くの成人した子どもたちは頭を抱えている。加えて、自分の母、義母、妻…というように、母と呼べる人が多いことも悩みの種。母たちみんなが仲良しというのはまれだから、皆で一緒にレストランで食事というわけにもいかない。
 母の日に母親を訪ねる理由としては、母親と一緒に時間を過ごしたいからというのがダントツの1位。普段は母親と時間を共有できないことに60%の人がギルティー意識を持っていて、だからこそ母の日ぐらいは、せめて一緒にいてあげたいとの思いやりをみせている。半面、母親と4時間も一緒にいたら、イライラ感が募ってくるとも白状しているところが、正直でおもしろい。
 母の日のプレゼントは? カード、花、電話を掛ける、レストランで食事が上位。母に贈るギフトは51ドル~100ドルの範囲が一番多く、今年は全米で200億ドル以上が母の日ギフトに消費されると予測されている。ちなみに、一年で一番電話の使用回数が多いのが母の日だというから、母親も結構忙しい一日になりそうだ。転倒しないように、周りの人は支えてあげてください。【石原 嵩】

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