ボイルハイツにある敬老中間看護施設の入口
ボイルハイツにある敬老中間看護施設の入口

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敬老4施設のパシフィカ社への売却が今週、正式に合意された。双方は加州司法当局からの条件を受け入れ、残るは2016年初頭のエスクロー手続き完了を待つのみとなった。しかし、敬老サイドと日系社会には情報の開示やコミュニケーションの仕方などをめぐる大きな見解の溝があり、この売買のプロセスに日系社会の声がきちんと反映されてきたのか疑問が残っている。【中西奈緒、モニエ中地美亜】

23日に行われた「敬老シニアヘルスケア」代表兼CEOのショーン三宅氏を含む5人と羅府新報社とのインタビューで、敬老4施設のパシフィカ社への売却が今週、正式に合意されたことが分かった。州司法当局、敬老、パシフィカ社、そして、パシフィカ社が引退者ホーム、中間看護施設、看護ホームの運営を委託する、アスペン社、ノース・スター社が合意をし、現在、経営や運営の移譲手続きが行われている。エスクローの手続きが終わると、敬老は4施設を受け渡す。
州司法当局からは「今後5年間」は4つの施設が現在の状況のまま、運営されることなどが条件として出されている。また、敬老側がパシフィカ側に助言をする10人ほどで構成する「コミュニティーアドバイザリーボード(CAB)」の設置も条件付けられており、ショーン三宅氏は「まだ何も決まっていないけれど、CABのメンバーには今まで一緒に働いてきた人や関わっていた人など、敬老についてよく知っている人である必要がある。そうでないと相手に助言はできない」と話す。
また、「売買のことを今まで支えてきた日系コミュニティーに十分な説明をしてきたか」の問いに対して、三宅氏は「この3年間、南カリフォルニア中、何百という場所で会合を開いたり、敬老のホームページを通じて十分すぎるくらいコミュニケーションをしてきた。それに2回も州司法当局に直接意見を出せる機会まであった。ここまで、このレベルで、コミュニケーションを取ろうと頑張っている組織はこの日系社会のどこにもない」との見解を示し、今後、コミュニティーのために会合を開いたり、直接説明をするつもりはなく、情報はすべてホームページに出ていると主張する。
しかし、日系社会には敬老の売買のプロセスにおけるコミュニケーションの仕方などに疑問を抱いている人も多く、双方には「透明性」をめぐる大きな見解の隔たりがある(敬老側との具体的なインタビューの模様は29日(火)の新聞に掲載の予定)

現在、コミュニティーグループ「敬老を守る会」(仮名)は敬老に関わってきた医師やソーシャルワーカー、敬老居住者、ボランティアなどが中心となり、今後どのようにコミュニティーの声を敬老に届けていくか話し合いを行っている。
また同会は、9月29日(火)、午後6時からセンテナリー合同メソジスト教会でコミュニティー集会を開催する。
この集会は敬老4施設の売却計画の真相を詳しくみていくことが目的。敬老の行く末について関心のある人、あるいは、心配している人などに多く集まってもらい、次のような問題点について一緒に考えていくという。

▽財政難の実態とは? また、なぜそのような事態が起こったのか?
▽どのようなプロセスを経て、敬老4施設を売却する結論に達したのか?
▽現在の管理者たちは、敬老4施設売却の詳しいステップについてコミュニティーに公開、あるいは説明しないのか?
▽今の段階で、売却の動きを阻止できるのか? できるなら、コミュニティーは何をすべきなのか?
▽実際に施設が売却された場合、どのようなことが起こると想定されるか?

以上の疑問や不明な点について、パネリストたちが今までに集めた情報に基づいて説明し、対応策やアイデアについて話す。また、集会出席者からも積極的に意見を述べてもらってディスカッションを行い、敬老の将来についてコミュニティーが直面している問題点を明らかにし、今後コミュニティーとして出来ることを考える。
パネリストはチャールズ・イガワ(社会学博士)、モー・ニシダ(アクティビスト)、ケイコ・イケダ(臨床心理博士)、タケシ・マツモト(医師)、ロナルド・シゲマツ(医師)、マサコ・ヤスイ(引退者ホーム住居者の家族)の6人が予定され、その他、弁護士やソーシャルワーカー、ボランティアの人々も参加して、ディスカッションを行う。
会場のセンテナリー合同メソジスト教会は、300 S. Central Avenue, Los Angeles, CA 90013 。3番街とセントラル通りの角(南東)にあり、駐車は教会のパーキングロットを無料で利用できる。

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