本作は、テレビシリーズ「セブンスヘブン」などに出演した俳優アダム・ラバーニャ扮する主人公のLA在住の建築家が、現在とサムライがいた18世紀の日本を舞台に、浪人と人生の意味を探す旅に出る物語。南は主人公を誘惑する女性を演じている。
9月にハリウッドのエジプシャンシアターで完成披露試写会が行われ、南も同監督や共演者とともにレッドカーペットに登場した。
現在日本を拠点に活動をしている南だが、6年ほど前まではロサンゼルスに住んでいた。出演の話はLA在住時に友人を通してすでに舞い込んでいた。
クランクインが何度も延期され、先行きが幾度となく危ぶまれる中、無事撮影が開始されたのは一昨年。
「唯一大変だったのが英語の台詞を覚えることでした。演技に関しては日米変わらず、言葉は関係ありません。標準語と大阪弁の違いくらいに思っていました」。撮影期間はおよそ1週間。米国映画への出演は今回が初めてだったが、無事乗り切った。
日本の時代劇にも過去に多数出演経験があり、所作に関してもごく自然に当時の女性を演じた。
着用した着物とかつらは南が撮影のために日本で選び持ってきたもの。時代を意識し、薄紫色の着物を選び、着付けも自ら行った。男性がしめる角帯のように幅のある帯を選び、帯揚げや帯締めは付けず、さっと後ろで結ぶ仕上がりにした。
南は日本舞踊、茶道など日本の伝統文化を一通り習得しており、「今回、日本の描写を演じる機会がめぐってきて、今までやってきたことが役に立ちうれしい」と話す。
現場では出演者の帯も南が直し、監督も南が日本文化に造詣が深いことで助けられたと話す。「ハリウッドで着物姿の芸者が登場する作品には間違いが多かった。しかし今回は果歩が知っていたおかげで、細部に至るまで彼女がこだわり、本物を追求してくれた」と絶賛する。
幻想的な雰囲気を演出するため、南はシーンの中で鼻歌を歌う。曲は日本の童謡「とおりゃんせ」。「メロディーは優しいですが歌詞は『ここは通ってもいいが、帰りはないよ』という解釈もできます。曲を監督に提案すると、『面白い』とシーンの中に取り入れられました」
南自身は本作について、日系4世である同監督のルーツが反映されていると話す。「侍の時代の場面は、主人公の過去世だと思っています。クレッグの中で、自分のルーツや日本に住んでいた先祖への思いが今回の時代設定を生み出したと思う。彼の中のDNAや、アメリカに来る以前の一族へのオマージュ(尊敬、敬意)も反映されているのではないかと思います」
試写会は12月1日はCinemark Theaterで、3日にはEdwards Alhambra Renaissance Stadium でそれぞれ午後7時半から行われる。予約はウェブサイトwww.tugg.com/events/70653で。
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