パレード参加の実現は、二世週祭での運行でも多大な支援を行った青森の貢献が大きい。三菱系の「菱友会」が中心となり、資金のみならず、有志のメンバーを送ることを約束するなど、物心両面で支えた。
南加青森県人会会長の奈良佳緒里さんは、帰国した際に東京・中野で過去4回、ねぶた祭を催す3団体「首都圏青森ねぶた囃子会」、「東京ねぶた連合会」、「二木会」に連絡し、合同練習を視察。代表の山田聡さんに、パレードへの参加を呼びかけた。山田さんによると、奈良さんから「青森文化のねぶたの素晴らしさを伝えて、ロサンゼルスの人々を喜ばせてもらいたい」という熱意に心を打たれたといい、囃子とハネトを合わせた計16人が、同夜だけのために来米した。
華やかなパレードには、85の個人と団体が参加。起点のチャイニーズ・シアター前からレッドカーペットが敷かれ、特設スタンドを人がぎっしりと埋め、セレブリティーやマーチングバンド、バルーンキャラクターなどの登場を待った。
ねぶたは25番目に、いざ出陣。眩い光を放ちながら、厳つい風貌の勇姿を表わした。大きな体を揺らしながらゆっくりと進み、テレビの実況席やスタンドに向きを変え、立ち止まる。睨みを利かせながら、頭を前後に2、3度振るお辞儀をすると、歓声が上がった。
囃子は太鼓と笛、鉦が息をぴったりと合わせて軽快に節を奏で、「ラッセラー」と叫び声を上げてハネトは元気よく跳ね、主役のねぶたを盛り立てた。ねぶたは、大きな交差点で静止すると、2、3度回るパフォーマンスで10万人を超す観衆を魅了。ハリウッドの目抜き通りを約3・2マイル練り歩き、大きなインパクトを与えた。
バーバンクから家族5人で来たリセト・カストロさんは、ねぶたを初めて目にし「巨大で、とても光輝いて美しかった。寒い中で待ち続けた見る人みんなをハッピーにして、エナジーを与えてくれた」と話した。「ねぶたの派手な色使いが好きで、ダンサー(ハネト)の衣装も派手で気に入った。バン、バン、バンという大きな音の太鼓、高い音を響かせた笛の演奏は、耳に心地よかった」と喜んだ。
「10年前からこのパレードに参加したいと思っていた」と語る、菱友会のねぶた副実行委員長の佐々木聡さんは、念願を叶え「最高で、来年もやりたい気分になった。ハリウッドという大きな舞台で、青森のねぶたに対する思いと、チャレンジ精神を伝えることができて光栄」と胸を張った。「ねぶたを揺らしたり、回したりし喜んでもらい、今夜見て感動した人が、本場のねぶたを見に青森に来てほしい」と願った。
県人会会長の奈良さんは、囃子の中心メンバーだが今回は参加せずに沿道から見守り「想像したよりもすごかった。お客さんの笑顔を見て感動し、胸が熱くなった。皆が頑張った『気』が見る人に伝わった感じがしてよかった」と喜んだ。
ねぶた囃子会長の豊島さんは「拍手がすごく、青森の伝統を伝えてよかったという気持ちになった。レッドカーペットの柔らかく、温かい感触がまだ残っている」と、興奮気味に話した。来年の同パレード参加について「目指したい」と希望し、協力を求めるという。【永田潤、写真も】