ワールドシリーズが終わり、このホリデーシーズンは選手にとって、来季への貴重な充電期間となる束の間の休息である。一方で、トレード市場は、賑わいを見せ、場外での球団間の熱い攻防が繰り広げられている。毎日、続々と入ってくる交渉の進展状況、そして大物選手が引き抜かれ5、6年の総額2億ドルを超える大型契約は何よりも驚かされる。
 選手のみならず、コーチ陣にも動きがあり、日系社会に吉報が届いた。ドジャースの新監督に、かねてから就任に期待が持たれた沖縄出身の母を持つデーブ・ロバーツ氏が決まった。自身も沖縄で生まれ、8歳まで育ち「日本は、私の一部分」と公言、言うまでもない親日家である。
 ロバーツ氏の選手としての才能は、野茂と石井を同僚に持ったドジャースに加入してから開花した。3人は同じ年に入団し、取材した当時を思い出す。ロバーツ氏は、練習熱心で、出塁への意欲を人一倍持ち、俊足を生かし盗塁、進塁して得点を重ね、常にチームの勝利を考えたプレーと発言に感心した。打てなかったり、負けた試合の後でも、記者にきっちりと受け答えをしてくれたのが印象的だった。
 意外や意外、いや、知らなかったことが恥ずかしいが、ドジャース歴代9監督はすべて白人だったという。黒人と日本人のハーフのマイノリティーとして、ともにダイバーシティーを誇りとする球団と町を代表する指揮官の手腕に注目は集まる。血液性のがんという大病を克服し、後厄も終えた43歳の若大将は、怖いものなしで、ワールドシリーズ制覇へ前進あるのみ。前途を祝したい。
 そして、ドジャースにまた1人の日本人がやってくる。昨年マリナーズでノーヒッターを成し遂げた岩隈だ。投球のみならず、性格が良く好感が持て、入団会見が待ち遠しい。
 2度あることは、3度どころか、いいことは何度あってもいい。広島の前田は、ポスティングシステムを用い、大リーグ入りを目指している。西海岸の球団を希望していて、われらのドジャースは、どうしてももう1人先発右腕が必要なため、ぜひとも獲得競争を制してもらいたい。【永田 潤】

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