友人から誘われ「酔った勢いで、出ると言ってしまった」という、2003年の「NAHAマラソン」(沖縄県那覇市)。ランニングの経験はなく、いきなりのマラソンは、6時間の制限内ぎりぎりで走り切った。
温暖な気候のロサンゼルスに移り住み「泳げて、自転車に乗れて、走れる環境がそろっている」と、トライアスロンを始めた。マラソンは「トライアスロンのトレーニングの一環」と位置づけ、3種目をバランスよくこなしている。
ランニングは、山岳のトレイルを好む。元々登山が好きなため「ハイキングのような気分で心地よく走れる。急な登りはきつく歩くしかないけど、下りはジェットコースターのように楽しい。ペース配分をうまくすれば、楽しくなる」と説明する。山や海を眺め、季節の変化を感じながら、新緑、美しく咲く花々が目を楽しませてくれ「自然が相手で、気分がよくなる」。また鹿やリス、コヨーテ、ボブキャットなど野生動物との出会いがあり、トレイルならではで心を和ませてくれる。
日本に一時帰国した際にトレイル50キロの「ウルトラマラソン」に出た。「マラソンよりたった8キロ長いだけ」と、軽い気持ちだったという。だが考えは甘く、アップダウンが激しくてつらく、11時間走った地点で「ギブアップ」。途中棄権した悔しさをバネに、本腰を入れたトレーニングは週6日と決め、月曜日を完全休養に充てる。午前4時半起床、5時から水泳、6時にスピン(ジムでの自転車)、7時はランを、8時過ぎの出勤までに毎朝こなす。
トレイルの50マイルレースは完走に約12時間を要し、冒険心をかき立てられ「怖いもの見たさ」でエントリーしたという100マイルは29時間かけて走り抜いた。暗闇の中は、頭に装着したライトの明かりを頼りに進み、夜空に輝く星を眺めたり、遠くに小さく見えるランナーを追いかけるのがおもしろい。
目標は自己記録の更新
「楽しく走れると思う」
LAマラソン
鈴木さんは自身の競技について「あくまで、トライアスロンがメイン」と、あらためて強調した上で、目前に迫ったロサンゼルスマラソンは「自分のタイムを確認するために重要」と、参加の意義を説く。今後のマラソン出場は、地元のロサンゼルス一本に絞るという。
大会の目標は「自分との戦いの中で、自己記録を更新したい」と意気込む。ベストタイムは昨年9月に、平坦で走りやすいコースを快走したベンチュラマラソンでマークした3時間27分。3時間15分以内を最終目標に置く。
ロサンゼルスのコースについては「起伏があるけど、基本的には平坦である」といい、高低差の激しいトレイルとの大きな違いがあるとし「楽しく走れると思う」
これまでに走った中で、ベンチュラとハンティントンビーチのマラソンは、海岸沿いを走る単調なコースで飽きたという。一方のロサンゼルスは、他にはない独特の景色を見ることができ、苦しさを紛らわすことができるのが特徴とし「スタートのドジャースタジアムから、リトル東京、ダウンタウンの摩天楼、チャイナタウン、ハリウッド、チャイニーズシアター、ビバリーヒルズなどランドマークを通り、最後のサンタモニカまで見どころが満載」といい、スタートが待ちきれない。