シャーマン連邦下院議員(右から3人目)と昨年12月31日に面会した日比野さん(左端)とSave Porter Ranchのメンバー。同議員は非常事態宣言の必要性を加州議会に訴えるとこの日約束。その後ジェリー・ブラウン知事は1月6日に非常事態を宣言した(Save Porter Ranch提供)
シャーマン連邦下院議員(右から3人目)と昨年12月31日に面会した日比野さん(左端)とSave Porter Ranchのメンバー。同議員は非常事態宣言の必要性を加州議会に訴えるとこの日約束。その後ジェリー・ブラウン知事は1月6日に非常事態を宣言した(Save Porter Ranch提供)

 「48時間以内に転居先から退去させるなんてあんまりです。たとえガス漏出をくい止められたとしても、今のポーターランチの空気が安全かどうかの保障はないのです」。NPO「Save Porter Ranch」の代表のひとり日比野恭子さんはガス会社に対する憤りをあらわにした。【取材=吉田純子】

 ガス会社側は漏出を食い止める作業完了後、住民の転居アシスタントを48時間以内に終了すると発表した。この取り決めは昨年12月、ロサンゼルス市法務局とガス会社側とで合意に至った。しかしこの対応に住民からの反発が相次いだ。
 問題のガス井から漏出している天然ガスの多くはメタンガスで、これまでの漏出量は9万トンを超えた。メタンガスは地球温暖化効果が非常に高く環境への影響が問題視されている。
 「さらに漏出しているガスの中にはベンジン、トルエン、キシレンといった有害物質も含まれており、発がん性も懸念されています。漏出を食い止めた後も大気中には有害物質が漂っている可能性があり、空気が完全にクリーンな状態になったという証拠がなければ恐ろしくて戻ることなどできません。いつまた鼻血や頭痛などの健康障害が現れるかも分からないのです」
 これまで日比野さんら率いるSave Porter Ranchのメンバーはガス会社に掛け合い、転居アシスタントの期間を延長するよう求めてきた。その後マイケル・アントノビッチLA郡参事官もガス会社とLA市のマイク・フォイヤー法務官に期間の延長を要請。8日に最大で8日間の延長が決定した。現在、地元政治家たちも住民側の求めに応じ、積極的に動きだしている。
 日比野さんらはこれまでにフラン・パブリー上院議員(民主・アゴラヒルズ)をはじめブラッド・シャーマン連邦下院議員(加州選出・民主)、エリック・ガーセッティーLA市長、アントノビッチ氏、ポーターランチを管轄する12区のミッチェル・イングランダーLA市議らと面会し、直接住民側の意向を伝えてきた。
 面会後、パブリー氏はガス漏出の即時停止などを求める規制案を提出し、同法案は先月28日に加州議会上院を通過。アントノビッチ氏は住民側が求める同施設閉鎖に支持を表明し、シャーマン氏は将来のガス漏出事故を防止するため、天然ガス貯蔵の安全対策に関する規制案を提出すると発表。着実に活動の成果が形となって現れてきている。
 しかしこうした中でも住民側の不安をぬぐい去ることは容易ではない。施設内には問題のガス井以外にもガス貯蔵用に使われている井戸が115基あり、1950年代に建設された井戸もある。現在、老朽化とその安全性が懸念されている。
 「たとえ問題のガス井の漏出が終わったとしても、施設内はいつ他の井戸に問題が発生してもおかしくないような状態です。どんなに政府が規制を設けても、結局井戸自体が残ったまま使われ続けていたら、いつまた同じ事態が起こるか分からないのです。今のままでは安全は保障されていません。これ以上ポーターランチを危険にさらさないためにも住民は施設の閉鎖を求めているのです」(続く)

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