「敬老」4施設が売却されて4カ月になる。周りの皆さんからいろいろな質問を受ける。情報が錯綜しているものと思う。
 売却に伴う、煩雑な事務処理などの対応に追われながらも、居住者がこれまでと同じサービスを受けられるようスタッフが頑張っている。一方、売却した側の「敬老シニア・ヘルスケア」は、潤沢な資金を日系社会に還元する活動の具体的な指針を示していない。売却後に発行されたニュースレターにCEOの今後に関する指針が当然打ち出されるべきなのに、一言もなかった。現在の「敬老」のスタッフは、元の肩書、待遇のままだとすれば、それに見合った仕事をしているのかということだ。
 売却反対を掲げた「高齢者を守る会」も、この「敬老」の活動や待遇について問うことはしていない。600人の居住者と600人のスタッフを抱えていた時と同じ給与待遇だとしたら、それなりの仕事が見えてきていいと思うが、情報が全く流れてこない。
 「高齢者を守る会」は、意見広告の中で、新たな施設づくりも視野に入れて行動、としているが現実的かどうか。場所の設定、利用者を日系人に限るとすれば、公的保健が適用されない全額私費になるだろうし、公的保健が使えるようにすれば、日系人居住区に建てなければならない。
 売却された元「敬老」4施設は非営利法人ではなくなったので、税金控除の対象ではなくなったが、日本人・日系人居住者がいる限り、支援協力していくことが大事ではないかと思う。企業、個人、日系社会の協力・支援が得られなければ、日本食・日本文化を考慮したサービスは難しくなると思う。「高齢者を守る会」は、「その場所でこれからも心配のない安らかな余生を送られるのを保証すること」が第一の使命としている。ならば、支援・協力を日系社会に呼びかけることもその目的に適うのではないか。
 日系社会を対立させるやり方は、誰にとってもいい結果を生まないと思う。本当に高齢者を思うなら、社会環境の変化と、自分がその立場に立ったらどうしてほしいかを考えて、それを実現するにはどこに何を働きかけたらいいかを考えることが大事だと思う。【大石克子】

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