
「私の魂が日本を求めている。日本の美の真髄に触れるたびに魅了されるのです」。元ロサンゼルス郡検事で、親日家としても知られる写真家のギル・ガーセッティー氏が7日、小東京にある日米文化会館(JANM)で、小東京ロータリークラブ主催のイベントで日本の美について講演した。会員らおよそ60人が集まる中、自身が日本で撮影した写真について、そして日本人が持つ美を敬う心について語った。【吉田純子、写真も】
驚きと感動の面持ちで日本での体験を語ってくれたガーセッティー氏は、LA市長エリック・ガーセッティー氏の父であり、現在写真家として活動している。ユネスコの文化大使も務め、来年6月に外務省が日本文化の新たな発信拠点としてLAに設置予定の「ジャパン・ハウス」の運営委員にも任命されている。
家族ともども日本が好きで、息子のLA市長は14歳の時に日本に短期留学し、ハネムーンの行き先も日本を選んだ。
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これまでに15回訪日し、そのたびに日本人が気付かないような日本の美を捉え、写真に収めてきた。2014年には日本で撮影した写真の数々を専門家のエッセイとともに写真集「日本、美しきものへの崇敬」にまとめ発表。
数カ月前にも日本に行き、各地で撮影し、伝統と現代が融合する今の日本の姿を写真に収めてきたという。訪れるたびに、日本人が日常の中でも「美」を慈しむ心を持ち続けていることに驚かされると話す。
はかない花の命を愛おしむかのように、優しく桜の花を包み込む日本人女性。紅葉したイチョウの落葉をすぐに掃いて捨てたりせず、まるで黄色の絨毯のようにそのままにして愛でる日本の心を写した写真など。「アメリカだったら、すぐに掃いて捨ててしまうでしょう」とガーセッティー氏は話す。
「マンホールにさえ、日本では美しい花の絵が描かれていたりするのです。LA市でこのような光景を目にすることができるでしょうか」
「ノー!」。日系人の歴史に深い理解を示し、小東京の発展に尽力してきた元LA市議で、講演を聞いていたジャン・ペリー氏が大きな声でそう答えると、会場は笑いに包まれた。
主催した小東京ロータリークラブは「この写真集を通して多くの人に日本の美を知ってもらいたい」との思いからこの日、ガーセッティー氏の写真集を日系パイオニアセンターに寄付した。
講演後に写真集を購入していたランチョパーク在住の幸子ワードさんは、「ここまで日本を愛する米国人がいるなんて感動しました。美しい日本の景色が懐かしくなりました」と話していた。
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ワイオミング州ハートマウンテンの戦時転住所に収容されていた日系人が作った木彫の写真(ギル・ガーセッティー氏提供)
