
ドジャースは26日、本拠地でのレイズとの対戦前のフィールドで、日本の文化や芸能を紹介する夏恒例の「ジャパンナイト」を催し、「ジャパンハウス」(海部優子館長)が、来年夏の開設に向けPRした。日本人と日系人アーティストが各種パフォーマンスを披露して盛り上げ、始球式では千葉明・新総領事が一球を投じ、前田健太投手がキャッチしイベントを締めくくった。日本を前面に押し出した演出で、ドジャーファンの心を掴んだ。【永田潤、写真も】

千葉総領事は、元ドジャースの野茂英雄投手と同じ背番号「16」で「JAPAN HOUSE」と記されたユニホームを贈られ「日本とドジャース、日本とアメリカとの強いつながりを感じる」と、感慨深げに話した。ジャパンハウスについて「日本についての発信拠点である。場所としての『ハウス』を作るのではなく、運動体のように日本の発信を新しい形で行い、日本についての共感を広め、新しい物語をここから紡いでいきたい」と思いを語った。
総領事の捕手を務めた前田投手は、ジャパンハウスの活動に賛同しており「日本に行ったことがないドジャースの選手に、日本の良さや素晴らしい物を伝えていきたい」と希望。この日はまた、自身のボブルヘッドがファンに配布され「まさか自分の人形が配られる日が来るとは思わなかった。不思議な感じがし、すごくうれしい」と喜んでいた。

セレモニーでは、ジャパンハウスを紹介する2分間の映像が披露された。パフォーマンスは、人気オーディション番組で、日本人として初優勝したダンサー蛯名健一が演技を見せた。米国歌を、スティービー・ワンダーやマイケル・ジャクソンなどのバックアップシンガーを務めた日本人ハーフのジュディス・ヒルが独唱し、スタンドを沸かせた。また、第76回二世週祭の女王とコートが紹介され祭への参加を呼びかけ、イベントに花を添えた。
「君が代」を斉唱したEXILEのATSUSHIは「より日本を感じてもらいたい」と、日の丸をイメージして、赤と白の着物地に菊の柄をグラデーションで表現した特注の衣装で決めた。歌唱は「日本の国歌を知らない人が多いので、いかにその素晴らしさを伝えるか」と心がけたという。ファンからはアメリカ独特の「イエー」と受け入れられ「多少緊張したけど、その雰囲気に助けられ、集中することができた」といい「『侍魂』を持って世界で戦っている前田投手と(他球団の)日本人選手の力添えになるつもりで歌った」と話し、詰めかけた4万7千人のファンを熱唱で魅了した。
海部館長は、イベントを振り返り「ドジャースのファンに加え、夏休みの家族連れなど一般のアメリカ人にもジャパンハウスを紹介できたのが大きい」と喜んだ。開設まで1年を切り、今後はコンセプトを伝える各種の広報イベント(9月12日・小東京)に力を注ぐといい「活動内容をより具体的に伝えるようにしたい」と意思を示した。文化、芸術に加え、スポーツも活動の一環だとし、2020年開催の東京五輪を見据え「ジャパンハウスがプラットホームになり、日米でオリンピックの雰囲気を盛り上げたい」

着任初仕事で大役こなす
ジャパンハウス成功へ「登板」
千葉総領事
始球式を務めた千葉総領事は、野球アニメ「巨人の星」の主人公、星飛雄馬と同じ背番号「16」を着け「大リーグボールを投げようと思ったほど気持ちよかった」と、冗談っぽく話した。緊張がほぐれたのは、前田投手のリードが大きいとし「『ここに投げろよ』というテレパシーを送ってくれた」と感謝し、球はノーバンで構えたミットに収まった。
ジャパンハウスの成功を託されての「登板」だ。ジャパンナイト参加のために着任を早め、イベント前日にLAに到着し、日の丸を背負う意気込みを感じさせた。初仕事で大役をこなし「日本のいいリズムを伝えることができてよかった」と胸を張り「今夜のPRを生かして、準備を進めたい」と抱負を語った。



