言い古された言葉だが、1年の計は元旦にあり。新年の誓いを立てることは簡単なことのようでも、それらを守ることはとても難しいことを誰もが経験している。
 U.S. News & World Report によると、「今年、なんらかの新年の誓いを立てた」という人は84%、「特に立てない」と回答した人が16%。「今年こそは○○をしよう」と、健気にも目標を掲げた人はかなりいることが分かる。
 例年、新年の誓いランキング1位に挙げられているのは「ダイエット」。2位以下は順位が入り乱れ、資格を取る、恋人を作る、仕事を頑張る、転職する、貯金をする、旅をする、運動する、家族と過ごす時間を作る、禁煙するなど、さまざま。
 一方で、1月中はなんとか誓いを守れても、2月の第2週目ぐらいで88%の人は挫折してしまうという。さらに挫折する誓いで最も多いのも「ダイエット」の46%というから、食欲は最もコントロールが難しい本能といえそうだ。
 20日に就任式を終え、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱方針を表明したトランプ大統領。米国を再び偉大な国にするという「米国第一主義」宣言が、いわば、一般市民の新年の誓いに相当する新大統領としての誓い。選挙戦を通じて主張してきた通商戦略や不法移民対策、イスラム過激派によるテロの根絶といった「誓い」を実践していくという。
 通常は、新大統領の就任というご祝儀相場で、支持率は60%を軽く超えるのが普通なのにトランプ氏の場合はわずか40%。「米国を誇り高く、安全で、偉大な国にする」と強調するわりには、歴代最低という芳しくない数字。
 就任式会場から数ブロックはなれたところで抗議デモが繰り広げられるなど、トランプ政権の前途は楽観視できない。新大統領の「誓い」がアメリカだけでなく、世界の人々に吉と出るか、凶と出るか。
 不測の事態を警戒し、ものものしいセキュリティーに守られながら、議事堂からホワイトハウスまでの約1・6マイルをパレードしなければならない光景に、今もさまざまな難問を抱えているアメリカ社会の一端が表れている。
 2月の2週目といわず、今後の4年間の動きから目を離せない。【石原 嵩】

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