先日ちょっとしたひょうしに高校時代の担任のことを思い出した。英語の先生で多趣味。その趣味の一つにモールス信号があった。
ご存じかと思うが、「・」と「―」の組み合わせで日本の場合は五十音を、英語の場合はアルファベットを表す。もちろん日英語での関連はないので、片方を知っていても相手が違う言葉であれば意味が通じない。普通の言葉と同じだね。
話はそれるが、小学生のころは多分に江戸川乱歩の明智小五郎探偵シリーズの小林少年にあこがれ、探偵団ごっこをしたことのある年配以上の人は多いのでは。僕はそれほどのめり込まなかったが、モールス信号などには興味があった。興味はあったが覚える気はなかった(覚えきれなかった、が本当)。
ちなみに「―」は「・」の3倍の長さ。各点の間は「・」1個分。文字と文字の間は「・」3個分。単語同士は7個分あけるらしい。言うのは簡単だが聞いたり打つのは至難の業というか、1分間に60文字を聞き分けるなんて、とてもとても…。
話を戻すと、なんでモールス信号の話かというと、くだんの先生が「『―・・・』と数回送られると、笑われているような気がする」と授業の合間に話していた。モールスでの意味は「ハ」。つまり「ハハハ」と送られてきたというくだらないはなし。
自分で「ツートトト」と繰り返していると、何となく笑っているような気がするのは僕だけか。
この時「ハ」と、ついでに「ヘ」を覚えた。「ヘ」は「・」。屁から来たのかと思ったら、英語の「・」がEで、たまたま何かの順番で当てはめてたら「へ」になったのだと。英語は出てくる頻度の順で一番多いのが「E」で「・」、次が「T」だから「―」。いろいろ考えて作られているらしい。日本語は英語の信号を引っ張ってきて、無理やり[イロハ」を当てはめたのでたいして意味がないとか。
ところであの有名な救難信号のSOS、モールスでは「・・・ ― ― ― ・・・」。これを日本語に置き換えると「ラレラ」、ちょっと歌いたくなるかな。【徳永憲治】