「マーチマッドネス」といえば、毎年この時期3月を中心に開催される全米バスケットボール大会を指す。プロとはまた趣向が違い、何よりもトーナメント方式なので、一試合ごと真剣勝負でスポーツファンを熱狂させる。ひたむきに挑む若者の姿に感動するのだ。
 「マーチマッドネス」のフレーズは、1939年イリノイ州の高校大会の際に発行された雑誌の記事で初めて書かれたといわれている。その後、1982年の全米大学大会で放映したCBSネットワークのスポーツ解説者のブレント・マスバーガーが引用し全国区となった。
 ディビジョンⅠ(アメリカの大学スポーツは、レベルによってⅠ、Ⅱ、Ⅲと分類されている)の32コンフェレンスで優勝したチームや全国ランキングの上位チームなど委員会で選出された総68校で全米一を決める。1回戦、2回戦を経て、「スィート16」「エリート8」、そして「ファイナル4」といわれる準決勝、決勝はアリゾナ州フェニックスで行われる。小さな大学が大健闘し、強豪大学を破る番狂わせも醍醐味だ。いわゆる『シンデレラ・ストーリー』である。
 グローバル化も進む。今回の大会ではカナダ、オーストラリア、ナイジェリアなど49カ国128人の外国生まれの選手が参加。ランク1位の初優勝を目指すゴンザガ大学には、デンマーク、ポーランド、フランス、カナダ、そして日本からの八村塁選手が属す。
 高校生のNBAプロバスケ・ドラフトが2006年に廃止されて以来、大学に進学した才能ある1年生は、この大会が全国のファンやスカウトに披露できる大檜舞台となる。
 大学の3ポイントシュートのエリアはプロと比べ狭い。つまりバスケットに近い距離からシュートが放せる。しかし、最近の大学選手は、既にプロの距離を想定してか、遠くからでもポンポン入れてしまう。1年生でも身体的能力も技術もリーダーシップも4年生と比べても全く劣らない選手がたくさん居る。
 本来大学は勉学の場なのだが、スポーツも人生勉学のうち、ということで、青春を謳歌する選手たちを応援しよう!【長土居政史】

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