数字の意味
 もう5月、1日はメーデーで、2日は八十八夜、立春から数えて88日目。茶摘みの盛期。新茶が出回り、5日の子供の日を控えて、当地リトル東京の和菓子屋の店先にも柏餅が並ぶ。
 5月は、日本ではゴールデンウイークと祭日が続く。その祭日の一つが入った歌がある。朝日歌壇賞受賞の西野防人さんの歌に「六二三、八六八九八一五、五三に繋げ我ら今生く」があって、この数字の意味は、五三は新憲法施行日、八六八九八一五は、広島長崎の原爆投下日と終戦記念日。六二三は沖縄戦終結の日。その他に、15日は、犬養首相が暗殺された日、そして沖縄が返還された日。
 日にちがはっきりしていると記憶できるが、第○何曜日となるとぼやけてくる。例えば、成人の日が1月15日から第2月曜日になってから、成人の日が意識できなくなった。体育の日も同様に、10月10日の東京オリンピックの開会式の日を記念してできた祭日だったのが、10月の第2月曜日「スポーツの日」になって、元の意味が忘れられて、連休ができただけと思う人もいると思う。こうやって、日の数字を考えると、ふと忘れていた大事な日を思い出したりする。
 公に意味づけされた日だけでなく、それぞれ個人や家族にとって意味ある日がたくさんあるだろう。誕生日、結婚記念日、命日などを、カレンダーに入れていくと、毎日が意味ある日になる。何百年、何十年を経た記念日、最近できた記念日、どれもその人にとっては大事な日。
 日にちの数字だけでなく、人それぞれに好きな数字、縁起の良い数字がある。福田赳夫元首相の「二のつくものは持つな」の言葉のように、別荘や別宅(かつて二号と呼ばれた)を持つような政治家になるな、ということか。戒めに使う数字。倹約を旨として、質素な家に住み続けた福田元首相の政治信条ともとれる。ただ、セカンドオピニオンのように、二を持つことがときに大事になる。
 今日は何の日を、あまり気にし過ぎるのもどうか。忘れてはいけない日はきっとあると思う。そうでない日は、時々、ふと思ってかみしめるくらいがちょうどいいと思う。明日は、知人の誕生日!【大石克子】

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