日本旅行のことを話していたときのこと。パスタを箸で! と驚いて話したら、「最近のこじゃれ(おしゃれ)たお店はそうですよ。京都はフツー、東京は最近」と日本から来ている若い子に言われて、えええ!。以前日本でパスタを食べたとき、どうだったかな? と振り返るが記憶の中に箸とパスタのコンビはなかった。
 ちょっとしゃれた人気のパスタ屋さんで、箸が出てきてパスタが運ばれてきた。クリームソースの池の中にパスタの山があるといったもの。これは、ラーメンのようにズルズルすするのかと、初めて西洋料理を見た日本人のごとく、食べ方に戸惑った。
 どんな料理でも使い慣れた箸は、食べやすい。マナーも変わってきているのかもしれない。ハンバーガーも小笠原流礼法には食べ方があると読んだ。汁のある、パスタもずるずる食べては、周りの人も不快に思うだろう、などと考えながら食べた。
 パスタは日本食だと思った。ここまで、日本の食材とマッチさせて違和感がないどころか、本当においしかった! たらこや明太子は普通に見られるが、シラスやひじきに山菜までもこういう風に食べさせるのか! と。
 食は進化し続け、おばさんたちはそのまま、自分もその中に入るのだが。
 美術館での騒々しさには閉口。係員が順路をちょっと戻っただけでも注意するのに、話声には何も言わない。感嘆の声を思わずあげるのはともかく、全くのとんちんかんを大声でまくしたてる。聴いている身としては、画家と絵への冒涜(ぼうとく)にしか取れない。ツアーの経路に入っていて、知らずに入ってきたかもしれないが、自分たちだけの貸し切りではないのだから。
 今回、6年前の津波の被災地である三陸へも足を延ばしたが、以前見えていた海が見えない程、堤防が高くなり、寸断されていた道路が整備されていた。岩手県野田村の塩を作っているところにも行ったが、海に近いところの製造所が流されて、今は高台に作られた製造所に、海水を運んで作っていた。
 手間のかかる塩は、甘みが残っていておいしい。途中、出会った人たちのお土産にしたら、喜んでもらえた。塩は料理にかかせない調味料、塩梅が決まる。【大石克子】

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