ここ一、二年、サブサハラ・アフリカに嵌(は)まっている。
 旧知の社会活動家、玉井義臣さんが始めた「アフリカ孤児高等教育支援イニシアティブ」のアドバイザーを請われたのがきっかけだった。
 サブサハラの孤児たちを欧米先進国の大学で勉強させ、卒業後は母国の発展のために尽くしてもらおうという画期的なプロジェクトだ。資金は街頭募金や世界中から寄せられる義援金で賄われている。その一期生が間もなく卒業する。
 サブサハラとは、アフリカのサハラ砂漠以南の49カ国からなる地域。その多くが最貧国だ。
 人口は8億人。アフリカ全人口の84%を占める。サブサハラは世界の石油・ガスの確認埋蔵量の30%を有するのに、採掘した石油・ガスを自ら利用できず、大半は輸出に回されている。石油・ガスによる発電コスト、つまり大規模な発電所を作り、作動させるだけの経済力がないのだ。そのため、サブサハラの人口のおよそ半分が電力供給を受けることができない。エネルギーがなければ、工業化も経済成長も夢のまた夢だ。
 九州大学の堀井伸浩准教授によれば、サブサハラ諸国が現状から抜け出す手段は安価な石炭を活用することだという。ところが、世界の風潮は脱石炭。経済性があるのに「環境原理主義」(石炭は大気汚染の元凶との考え)によって出場チャンスを失い始めている。(『エネルギーレビュー』2013年8月号)
 折からトランプ大統領は地球温暖化防止を促進する「パリ協定」からの離脱を宣言した。石炭のマイナス評価を見直し、利用拡大路線に転換するというのだ。支持層の石炭業界を据えた国内的な思惑からだと、国際社会から非難されている。この石炭重視政策がサブサハラにとって吉と出るかどうか。どう跳ね返るか。物事、視点を変えてみると、全く別の世界が見えてくる。【高濱 賛】

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