平昌オリンピックが終わってもなお、わが家ではメダルの話が飛び交っている。「金メダルはとても無理でも、せめて銅メダルまでは」とか、「銀メダルまで行ければ十分」という風に。
 実はこれ、長生きの話で、70歳が銅メダル、80歳で銀メダル、90歳なら金メダルと自分たちで勝手に決めてのこと。ここ何年か、70歳を目前にして友人が数名亡くなり、昔と比べてぐんと寿命の延びた現在でも、やはり70というのは大きな目標になることを実感したためだ。
 世界保健機構(WHO)が発表する世界保健統計の最新版によると、日本の平均寿命は男性が80・5歳、女性が86・8歳で、世界一。これに対しアメリカは、男性76・9歳、女性81・6歳とのこと。
 この差は食べ物のせいか、医療制度の違いか、生活様式の違いによるものか。日米を行き来していると、日本は自治体主導の検診制度が充実していることを実感。予防医療体制の違いは影響しているかと思う。
 WHOはまた、平均寿命の他に、国別の平均健康寿命も発表している。健康寿命とは、「自立した生活が出来る期間」と定義され、男女平均の健康寿命はアメリカが69・1歳、日本は74・9歳とのこと。
 これに関連し、退職に向けアメリカの会社で夫が受けた2つのアドバイスを思い出す。まず、高齢になるに従い夫婦揃っての遠出は難しくなるので、念願の旅行は遠方から始め、70歳位までを想定しておく。次に、仕事だけに専念していた者は退職後に早死にする場合が多いから、在職中から趣味を持っておく、と。
 長生きするに従って、アルツハイマー病などが発現するのは仕方がないが、「すること」「したいこと」「しなければならないこと」があるか否かでは、その進行速度は違いそうだ。かつて「僕には何もすることが無い」とポツンと言った実父と、今なお庭仕事などに精を出す義父を見比べての実感である。
 私たち夫婦は、せいぜい家庭内の仕事を分担し、まずは二人そろっての銅メダルを目指すことにしたい。諸先輩方、金・銀メダルおめでとう。【楠瀬明子】

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