日本代表がピッチに姿を現す映像が流れると、キックオフが待ちきれない参加者から早くも拍手が起こった。君が代斉唱で心を一つにし、応援態勢を整えた。
19日の第1戦で、FIFAの世界ランク16位の強豪コロンビアを破り、W杯でアジア勢史上初という南米のチームを下して歴史的快挙を成し遂げ、波に乗る日本。だが、相手は同27位で、同組の前試合で同8位のポーランドに勝利した実力を持つ手強い相手で、簡単には勝たせてくれない。サポーターは、それを覚悟して応援に熱を入れた。
試合開始から「ニッポン!ニッポン!」の叫び声と拍手が鳴り響いた。サポーターはチャンスでは絶叫、逆に攻め込まれると「ディフェンス」と叫び、ピンチを切り抜けると、安堵の大きな拍手が起こった。
試合早々に先制を許すと、会場は悲鳴や「あー」という、ため息が飛び静まり返った。だが、果敢に攻める日本に懸命の応援を続けた。34分に同点に追いつくと、総立ちのサポーターは初対面でもハイファイブしたり、抱き合ったりし、試合会場さながらの歓喜に包まれた。前半を1―1で折り返した。
参加者は「勝ちたかった」という悔しさの半面、「よく頑張った」「よく同点に持ち込んだ」と称賛の声が多く聞かれた。
この朝、4時半に起床してサンディエゴから息子の隼人君と2人で来た小川由美さんは、自宅のテレビの前で1人で大声で騒ぐと、息子が首を傾げることから「みんなで日本を応援したい」と参加した。地元のサッカーチームに所属する42歳の小川さんは、20代の若い選手に混じってプレーしているという。この日の試合について「日本は3回くらいシュートをミスしたので惜しかったが、最後まで粘って同点にもっていったのがすごかった」と振り返った。
格上セネガルに挑んだ日本について「身長差があったが、素早い動きで対等に戦い、日本のレベルの高さを感じた。日本代表の活躍が、日本の子供たちに夢を与え、日本のサッカーのレベルを押し上げることがうれしい」と喜び、「結束力があって、グループで守り、『侍』らしい振る舞いだった。日本人として誇りに思う」と述べた。
小川さんは、コロンビア戦で決勝ゴールを決めた同じ鹿児島出身の大迫選手の大ファン。次のポーランド戦に対し「大迫選手がゴールを決めて日本を勝利に導き、『大迫半端ないって』(大迫選手の流行語になりつつある)を大声で叫んで、泣いて喜びたい」と語った。
サンペドロに住む安田ミイナさんは、母の和さんらとともに参加した。小学校から高校までの9年間サッカーに打ち込み、2011年のW杯で世界女王となった「なでしこジャパン」に憧れた。この日の試合について「日本が勝ってもおかしくないほどいい試合だった。前回のワールドカップの時と比べ、日本はパスがすごくスムーズで、コントロールもよく、ずっと強くなった」とたたえた。劣勢の中でも同点に追いついたことに「それが日本の戦い方。すごくリスペクとしたい。次の試合で勝って、決勝トーナメントに進んでほしい」と期待を寄せた。
石井さんは、会長を務める「日米サッカー協会」を今年4月に設立し、日系人ユース選手の育成を目的に大会を年に4回開き、日系社会人リーグをシーズンを通して運営する。地元チームとの交流も活発で、韓国系、ベトナム系、米国チームと試合し心を通わせる。東日本大震災の際は、韓国系チームと協力しチャリティー試合を催し、被災地にエールを送った。
石井さんは、選手としても50歳以上のチームに属しまた、ユースチームを指導しているという。今回の日本戦を振り返り「きっちりと落ち着いて、正確なプレーをし、想像よりもいい試合をしてくれた」と称賛した。1点目について「あれが日本の実力を物語っている。自分たちの攻撃パターンを持っていて、ちゃんと決められた。攻撃力を持ち始めたので、日本のサッカーが世界レベルになってきたことを証明した」と分析した。2点目は「本田が期待通りの活躍で入れてくれた」と唸り、追加点を許した際に本田をすぐさま投入し、引き分けに持ち込んだ指揮官の采配を絶賛し「西野監督は、これでまた株を上げた」と話した。
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