前日の「ラーメン食いてえ」上映後には熊谷監督ら製作陣が記者らの質問に答え、製作の舞台裏を紹介。標高の高いキルギス共和国での撮影時、高山病になるスタッフが続出。困難を極めた。また、参加したその土地の出演者のほとんどが演技とは無関係の一般人だったことから、演出に工夫を講じた例などを挙げた。LAで本作の初公開を迎えたことから、熊谷監督は「これをきっかけに、海外を意識して製作を続けたい」と語った。
完売2本目の作品は、桃井監督が主演と脚本も手がけた「火 Hee」。2016年に世界で公開され、ベルリン国際映画祭など世界有数の映画祭で上演されてきた。LAでの一般公開は初めてということに加え、上映後に監督のQ&Aが行われたことから、映画祭のフィナーレを飾るにふさわしい賑わいとなった。Q&Aはゴールデングローブ賞を選考するハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)会員の中島由紀子さんとの間で行われ、桃井監督の作品に対する思いなどが来場者へ直接届けられた。
作品賞に選ばれた「カメラを止めるな!」の上田監督と出演者からは、受賞の喜びを伝えるビデオメッセージが届いた。監督賞に選ばれた桃井監督は「いろいろな映画祭を回ったが監督賞は初めて。とても嬉しい」とスピーチし、記念品の盾を高々と上げた。
セレモニーの後はミヤコホテルへ会場を移し、招待客とボランティアらがアフターパーティーに参加した。実行委員を含む約40人のボランティアはお互いをねぎらい、約1年かけて準備してきた映画祭の成功を祝った。
鈴木実行委員長は映画祭の終盤、安堵した表情で「映画祭は大成功」と評価。「ほとんどが学生ボランティアでメンバーが入れ替わるため、規模を維持することはなかなか難しい」としながらも、「経験あるボランティアがこれからもうまく導いてくれるだろう」と述べ、今後の期待も含めた。【麻生美重、写真も】
各賞は次の通り。( )内は監督
▽最優秀作品賞「カメラを止めるな!」
▽最優秀監督賞「Hee 火」(桃井かおり)
▽特別感謝賞「アラフォーの挑戦 アメリカへ」(すずきじゅんいち)
▽短編公募賞「Home」(竹中響子)
▽長編公募賞「戦争を忘れずにお互いを許す」(ポール・マーティン、ブラッド・ベネット他)
▽チャノマ映画賞 「はなちゃんのみそ汁」(村岡克彦プロデューサー)
▽公平なドキュメンタリーへの感謝「ビハインド・ザ・コーブ」(八木景子)
▽感動と涙への感謝 「明日にかける橋」(太田隆文)
▽日本食普及への感謝 「ラーメン食いてえ!」(熊谷佑紀)
▽熊本復旧活動への感謝「うつくしいひと」(行定勲)