「輪諸居 (ワッショイ)!日本」で、ショーを盛り上げる生徒たち
 LA歌謡クラブは、秋恒例の歌謡ショー「歌の仲間たちと共に」を18日、トーレンスのホリデーインで催した。ソロにデュエット、合唱に加え、作曲家の平尾昌晃の名曲を集めたメドレーを披露するなど、参加者210人を魅了した。

 ショーは、歌唱指導34年の新原由美さんと、新原さんの個人、グループレッスンを受ける25人が共演。20代から80代まで幅広い年齢層の生徒が次々に舞台に登場し、懐かしい演歌からJポップ、英語の曲などバラエティーに富んだ計35曲を熱唱。1曲終わるごとに大きな拍手を浴びた。

「赤とんぼ」を観客と一緒に合唱する新原さん
 今年のハイライトは、数々のヒット曲を世に送り出し、昨年亡くなった作曲家平尾昌晃を追悼した名曲集25曲をメドレーでつないだ。新原さんは、平尾の曲について「譜面を読むと、他の歌謡曲と音の飛び方がまったく違っていて、4度から5度の広い音程を随所で使っている」と指摘する。平尾の曲をアマチュアが人前で聴かせるまでには半年を要するとし、レッスンでは双方が疲労するほど練習を重ねたという。
 恒例の出演者と聴衆の大合唱は「赤とんぼ」を、生徒の多くが所属する鹿児島県人会のカルカンコーラスは「若い広場」、新原さんと生徒3人のカルテットは「風」を美声の4重唱で響かせた。司会のタック西さんが出演者をリードし、ノリのいい「輪諸居 (ワッショイ)!日本」を元気よく歌って会場をお祭りムードで包み、ショーは最高潮に達した。
「手をつなぐ親の会」への寄付金贈呈式。前列中央の紗衣さんを囲み、後列右から西さん、野嶋裕子さん、新原さん
 ランチを食べながらのショーは毎年、売り上げの中から日系社会の団体に寄付金を贈っている。今年は昨年に次ぎ、障害のある子どもを持つ日本語を話す親たちで作る「手をつなぐ親の会」に1000ドルのチェックを、同会から参加した野嶋裕子さんと娘の紗衣さんに手渡した。
 今年のショーについて新原さんは「私が知っている限りの音楽をすべて教えたので、生徒の思うままに歌わせた」と説明。プロでさえ難曲という平尾の作品についは「音楽的にハイレベルの難しい曲を、教えた通りに歌った」と誉めた。ショーを総括し「ソロもデュエットも合唱も、アマチュアの生徒がアマチュアらしくありのままに頑張って歌ってくれた。100点満点をあげたい」とたたえた。
 新原さんのレッスンは、娯楽のカラオケと一線を画し「本当の音は、世界に一つしかない」と力説し、妥協を許さず、生徒とともに「音」を追い求める。音程、(腹式)呼吸法、歌詞の持つ意味を理解した上での感情表現など、音楽全般に厳しい指導を施す。プロの物まねを嫌い「自分本位に歌わず、アマチュアらしく」を徹底する。
 今年で24回目のショーは、新原さんと司会歴54年の西さんが、生徒が歌を始めた時の「初心を忘れないように」との願いを込め始めた。「音楽の基礎はすべて教えた」ため、これまでのようなスタイルのショーは今年で最後とし、来年は趣を変え、観客は120から130人と規模を縮小する。新原さんは「家族や友人が付き合いで、歌う『人』を見に来るのではなく、歌う人の『歌』を聴きに来るライブショーにしたい」といい、「先生と生徒が音楽を作り、自分たちが自己表現する中身の濃いショーを目指す」と述べた。【永田潤、写真も】
「風」の4重唱を披露する(左から)新原さん、井上みどりさん、前本紀子さん、ゲイリー背古さん

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