ショーは、歌唱指導34年の新原由美さんと、新原さんの個人、グループレッスンを受ける25人が共演。20代から80代まで幅広い年齢層の生徒が次々に舞台に登場し、懐かしい演歌からJポップ、英語の曲などバラエティーに富んだ計35曲を熱唱。1曲終わるごとに大きな拍手を浴びた。
恒例の出演者と聴衆の大合唱は「赤とんぼ」を、生徒の多くが所属する鹿児島県人会のカルカンコーラスは「若い広場」、新原さんと生徒3人のカルテットは「風」を美声の4重唱で響かせた。司会のタック西さんが出演者をリードし、ノリのいい「輪諸居 (ワッショイ)!日本」を元気よく歌って会場をお祭りムードで包み、ショーは最高潮に達した。
今年のショーについて新原さんは「私が知っている限りの音楽をすべて教えたので、生徒の思うままに歌わせた」と説明。プロでさえ難曲という平尾の作品についは「音楽的にハイレベルの難しい曲を、教えた通りに歌った」と誉めた。ショーを総括し「ソロもデュエットも合唱も、アマチュアの生徒がアマチュアらしくありのままに頑張って歌ってくれた。100点満点をあげたい」とたたえた。
新原さんのレッスンは、娯楽のカラオケと一線を画し「本当の音は、世界に一つしかない」と力説し、妥協を許さず、生徒とともに「音」を追い求める。音程、(腹式)呼吸法、歌詞の持つ意味を理解した上での感情表現など、音楽全般に厳しい指導を施す。プロの物まねを嫌い「自分本位に歌わず、アマチュアらしく」を徹底する。
今年で24回目のショーは、新原さんと司会歴54年の西さんが、生徒が歌を始めた時の「初心を忘れないように」との願いを込め始めた。「音楽の基礎はすべて教えた」ため、これまでのようなスタイルのショーは今年で最後とし、来年は趣を変え、観客は120から130人と規模を縮小する。新原さんは「家族や友人が付き合いで、歌う『人』を見に来るのではなく、歌う人の『歌』を聴きに来るライブショーにしたい」といい、「先生と生徒が音楽を作り、自分たちが自己表現する中身の濃いショーを目指す」と述べた。【永田潤、写真も】