新年早々ラッキーだと思った。入園料を支払わずに国立公園に入れたのだから。しかしそんなのんきな考えも束の間。まさか、政府機関の閉鎖がこんなにも長く続くとは、その時想像もしなかった。
 今年の正月はジョシュアツリー国立公園を訪れた。政府機関の閉鎖措置により、筆者が行った時は公園入り口で通常ならいるはずの職員の姿はなく、訪れた人は幸運にもみな無料で入園できた。
 しかし職員に給与が支払われないため、園内に設置されているトイレの清掃が滞り、キャンプ場が閉鎖になるなどその時から影響はじわり出ていた。その数日後には完全に閉鎖になったと聞く。
 米・メキシコ国境の壁の建設費をめぐる与野党の対立から起こった今回の政府機関の閉鎖は史上最長となり、35日が経過した今月25日に、トランプ大統領は3週間の暫定予算案に署名。政府機関の閉鎖が一時、解除されることになった。
 閉鎖期間中は、国立公園やスミソニアン博物館などの連邦政府機関が閉鎖となり、米報道によると来場客がゼロになった同博物館では1週間におよそ100万ドルの損失が出ていたという。
 空港の管制官も連邦政府職員。空の安全を司る管制官が不足し、東部の一部地域では一時運航が停止されるなど、空の便にも影響を及ぼした。
 そんな中でも無給で働いた連邦政府職員はおよそ80万人。給料が支払われないため彼らの生活は困窮。食事や物資の配給に頼らざるを得ない職員も急増したという。
 こうした事態を受け、ロサンゼルスにレストランを構える人気シェフのホセ・アンドレ氏は首都ワシントンで連邦職員を対象に炊き出しを実施。アンドレ氏は昨年カリフォルニア州パラダイスで発生した山火事「キャンプ・ファイア」の時も避難所で生活する住民に温かい食事を提供していたのが記憶に新しい。大規模な山火事や洪水など、近年の自然災害をめぐり、目につくのが非常事態発生後に救援のためすぐにボランティアとして動く人々の姿だ。
 波乱続きの昨今。暗いニュースが多い中でもこうして互いに助け合う人々の姿には心洗われる。助け合いの精神―。われらの日系社会でもよく聞かれる言葉である。【吉田純子】

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