2週間ほど前、18年度の所得税申告をしに行った。
 いつもの税理士さんがコンピュータに必要事項を打ち込み、「さて今年のタックスリターンは」と期待。毎年少しでもリターンがあるように月々の税金を大目に払っているから、多少差はあるが大体においてなにがしかのリターンがある。いわばIRSに貯金をしているつもり。月々払う分にはあまりこたえないが、年頭にドンと取られるのはつらいので余計に払っていた次第。
 「さて」と思ったら、彼が悲しそうな顔をして「今年は払い戻しはありません。逆に○ドルの支払いになります」
 僕ら夫婦「えエエエ~?」ですよ。彼いわく「トランプの新税制で今まで計上できていた控除がなくなりました」とのこと。
 なんやかんやで財政赤字が膨らんでいるようだ。大統領就任後すぐの富裕層の税金の控除、中間選挙前の貧困層の税控除。どちらも選挙を有利に進めるための政策だったのかと、今ごろ気がついた。
 貧困層の税控除はあまり財政に影響はないのかもしれないが、富裕層からの税収入が大幅に減れば財政赤字が増えるのはあたりまえだと思うのだが。多分自分のビジネスのための布石かなとか邪推もしたくなる。その赤字を補填(ほてん)するために、中産階級からの税徴収となったのだろう。
 いつもタックスリターンをしてくれる税理士は黒人と日本人のハーフ。彼はもともと心理学の教授で、あちこちの大学で教べんをとっていたし、そのかたわら絵や写真をよくする人。だから人種差別に敏感な人ではあるが平和主義者でもある。が、この新しい税制に関して簡単な説明をしてくれている時の彼は本当にいまいましそうだった。
 多分しばらくは(次の税制が変わるまで)このままこの状態が続くだろうから、給料からの税支払いをもう少し上乗せしたほうがいいだろうとの助言をもらった。
 あまりにもがっかりした顔をしていたせいか、彼の監修した本を戴いた。英語の本だから時間をかけてゆっくりと読むことにしよう。【徳永憲治】

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