1964年に公民権法が成立したことで自由を得た日系人、帰米二世、戦後渡米した日本人が高齢者となると、小東京でぶらぶらと時間を持て余す姿が見られるようになった。「彼らに娯楽、憩いの場、ソーシャル・サービスを提供する目的で、1969年に数名の有志が集まり『南加日系人パイオニアセンター』という名前で設立された」と、竹花会長は説明した。
また、パイオニアセンターにかかわることで「2点知ってもらいたいことがある」と力を込め、同センターから独立、そしてその逆で同センターに合併した日系2団体について話した。
「もう一つは、パイオニアセンターは南加日系商工会議所とかかわりがある」とし、80年ごろの南加日商はさまざまな部会を持ったという。その中に高齢者をサポートする社会部が活動していたが「83年にこの社会部が南加日商からスピンオフし、日系パイオニアセンターにマージした。彼らがジョインすることにより、日系パイオニアセンターのソーシャル・プログラムが充実した」と強調した。
パイオニアセンターは、日米文化会館内にオフィスを構える。オフィスと教室は、一昨年に大規模な改装を施すとともに老朽化した備品を一新した。クラスで教える内容に合わせて配置を換えるテーブルは移動が容易なものにし、大型テレビモニターも設けた。生徒の学びやすい環境を整え、向学心を刺激した。
一昨年にはまた、会員数の増加を目指し、初のオープンハウスを開いて活動の周知を図り、好評を得た。会員数を着実に増やしている。運営は、会費と日系社会からの寄付、ファンドレイジング、各種のグラントでまかなっている。
社会福祉サービスは、日英両語を話すスタッフが対応にあたる。専門家を招いたセミナーもまた開いており、タックスリターンは税理士を、市民権講座では移民弁護士を定期的に迎え、資産運用、メディケア説明会は民間会社から専門スタッフが講師を務めるなど、サービスの向上を図っている。文化クラス、教育プログラムは、日本舞踊、民謡、茶道、華道、俳句、短歌、川柳、詩吟、コンピュータ、写真、刺し子、ヨガ、着付け、健康講座、絵手紙、シニア勉強会などと活動は多岐にわたる。理事、役員、ボランティア総勢約30人が連携し、会員約520人を全力でサポートしている。
「次の50年を目指して歩む」と、意気込む竹花会長。「50年前の設立の趣旨を基に日系パイオニアセンターを繁栄させたい。この組織の未来へ橋をかけ、設立の理念と遺産を次の世代に伝えたい」【永田 潤】