DIRECTVによる日本語放送の開設を記念した祝賀レセプションに参加し、レッドカーペットでポーズをとる関係者
 米最大手の衛星放送プラットフォーム「DIRECTV」は、米国在住の日本人と、日本に興味を持つ人々に向けた24時間の日本語テレビ放送を5月末から開始している。「日本テレビ」の人気番組と、「チャンネル NECO インターナショナル」による日活の映画をそれぞれコンテンツとして提供し、米国にいながら日本語でバラエティーに富んだ見応えのあるテレビ番組と映画を堪能することができる。

日テレが提供する「あのニュースで得する人損する人」
 勢いづく中国系、韓国系の地元メディアと比較し近年、日系メディアは日本人の人口減少に伴い、雑誌の廃刊やテレビ局が廃業などに追い込まれ、年々下火になっている。そんな中、今回の日本語のテレビチャンネルの開設、しかも24時間放送は朗報である。
 日本語放送開設を記念した祝賀レセプションがこのほど、トーレンスのミヤコ・ハイブリッドホテルで開催された。DIRECTVのコンテント・プログラミング部・バイスプレジデントのエマ・ブラケット、日テレの海外ビジネス推進室長の十川敦、日活の映像事業部門・版権営業部・国際事業部長の冨田稔彦の3氏が出席し、100人を超える招待客を前に、自社の紹介をはじめ配信するコンテンツのプレゼンテーションを行い、視聴を呼びかけた。
 年間視聴率5年連続で3冠を誇る日テレは、豊富な番組の中からドラマシリーズやバラエティー番組、プロ野球の巨人戦などを放送する。ドラマは今年話題になった「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」「崖っぷちホテル!」「赤鼻のセンセイ」「正義のセ」など、バラエティーは今、人気を呼んで
配信するコンテンツについて説明する日活の冨田氏
いる「マツコ会議」「有吉反省会」「あのニュースで得する人損する人」などを、現在セ・リーグ首位を走る巨人戦は、東京ドームでの全ホームゲームを予定している。
 日テレの十川氏は、日本テレビが全米で放送することは初の試みとし、喜びと期待の中で「視聴率ナンバーワンを誇る源になっているドラマやバラエティー番組に加え、プロ野球の巨人戦を心待ちにする人々が多いことを期待している」と話した。ターゲットである長年の在米日本人や駐在員とその家族、日本語の学習者、日本文化の愛好家に向け「日本文化に触れて、日本のトレンドを感じてもらいたい」と呼びかけた。TVジャパンはライバル視されるが、相乗効果を狙いたいとし「日本のカルチャーに触れてもらい、日本人に楽しんでもらえればと思っていて、今後TVジャパンさんと一緒に何かをできればいいと考えている」と、コラボレートの意思を示した。
 米市場への進出については十川氏は、国内のテレビ放送の事情を説明し「ガラパゴス化しているイメージもあるので、生き残って、さらに門戸を広げるためには海外にどうしても目を向けざるを得ない。そのためには、今回の放送開始が一つのきっかけになればいい」と語った。
 日活は1912年創立、日本最古の映画制作・配給会社。チャンネル NECOは、日本でケーブルサテライト局を持ち、790万人の加入者を引っ提げ、このたび米国進出を果たした。日活の幅広いコンテンツを持ち、コメディ、サスペンス、スリラーなどからの最新作や往年の傑作を提供する。作品は
3社のロゴが入ったケーキにナイフを入れる(左から)日活の冨田氏、DIRECTVのブラケット氏と日テレの十川氏
「戦争と人間 完結編 前・後」「新宿アウトロー ぶっ飛ばせ」「上を向いて歩こう」「愛と死を見つめて」などを配信する。
 日活の冨田氏は、映画専門のチャンネルNECOと日テレが手を組み立ち上げたことに「ありがたく光栄に思っている」と喜ぶ。邦画が米国で紹介される機会は多くないとし「日活はライブラリータイトルが数千タイトルある」と胸を張り「そういった古い良質のタイトルと、最近のヒット作を含め、こちらの日本人在住者と日本語学習者に幅広く届けていきたい」と抱負を述べた。チャンネル事業の立ち上げに伴い、米市場で推進する日活のコンテンツの紹介、そしてハリウッドでのリメイクの事業を後押しするといい「将来の事業展開につながればいい」と、意欲を示した。
 DIRECTVのブラケット氏は、ターゲットについて日本人と日本語学習者をメインにすることを強調。そのためテレビ、映画の全番組に、英語字幕を付けないことを明かした。
 ブラケット氏は「日本テレビと日活の両社とパートナーシップを結ぶことができて本当にうれしい」と目を輝かせた。数年前から日本の良質で新しいコンテンツを米国で紹介する構想を練っていたといい「昨年から日本の番組を見て、両社と話し合いを重ね、長い期間を経てようやく実現し、放送開始にこ
日テレと日活とのパートナーシップを喜び、日本語チャンネルの成功を期すDIRECTVのブラケット氏
ぎ着けて感慨深い。私自身が日本番組のファンであり、一視聴者として楽しみたい」と、声を弾ませた。
 日系社会に向けブラケット氏は「われわれDIRECTVが発掘したバラエティに富んだ素晴らしい日本のコンテンツを見てもらいたい。日本のナンバーワンの視聴率を誇るトップテレビ局と豊富なコンテンツを持つ日活の二つのトップブランドと手を組むことができパーフェクトマッチだ」
 十川氏は、記者会見での記者の質問「24時間日本語テレビ放送の開始は、衰退傾向の日系社会への活性化に寄与することに期待が寄せられているが」に対し「以前よりも力が落ちているらしいが、できるだけ、日系社会の力が上がっていくようにするのが究極の目標」と答えた。「アメリカという国で日本のコンテンツを求められるのは、われわれにとって非常にうれしいので、それを目指していきたい」と述べた。
主砲の丸選手の活躍など巨人戦が視聴できる
 冨田氏は「日本人の視聴者に、日本で住んでいるのと同じ環境で、家に帰ればそういったコンテンツが見れるという風に当たり前に思ってもらえるようにコンテンツを提供し、生活の一部にしてもらいたい」と、視聴を希望した。気になるコンテンツについては「(著作権のクリアランスの問題があるため)最初は旧作から始め、徐々に新作を増やしていきたい」と説明した。
 DIRECTVの日本語テレビ放送視聴の加入は、三つのパッケージの中から選べる。日テレとチャンネルNECOの「JAPANDIREC」が月額25ドル、「テレビジャパン」は月額25ドル、JAPANDIRECとテレビジャパンの両方が視聴できるパッケージは月額45ドル。
詳細は日本語対応の電話855・217・3124。日本語のウエブサイト―
 www.directv.com/japanese【永田 潤】
放送する幅広い番組について紹介する日テレの十川氏

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