干支を一回りした12回目の開催は令和初の記念の会にもなった。初回から参加するのは「朗読ネットワーク日本」主宰の堀田紀眞さん(日本在住)と「LA朗読グループ」代表の木村秀隆さん(パームスプリングス在住)。
堀田さんは長年携わってきた「平家物語」の朗読を宮尾登美子の「宮尾本」を基に自ら構成。「壇ノ浦の戦い」の章、都落ちした平家一門が幼い安徳天皇に入水をうながす場面では一段と熱のこもった語りを披露した。堀田さんは「日本語の美しさと日本文学のすばらしさを一人でも多くの人に伝えたいとの思いで続けている」と述べた。
宮沢賢治の「虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)」は、日本在住で「さくらの会」所属の金子ミツ江さんが朗読。現代にも通じる賢治の価値観と自然観を穏やかな語りで聴衆に伝えた。
フルート・サックス奏者の谷則安とミュージシャン仲間(ピアノのアーク佐野、ベースの佐藤雅俊、ドラムの阿久津恵太)による「ノリ・タニ&トモダチバンド」がジャズ演奏で参加した。グラミー賞最優秀ニューエイジアルバム賞受賞の琴アーティスト松山夕貴子も加わり数曲コラボレートするなど、朗読の会に贅沢なひと時を添えた。
「情報文は読めるのに創作文の読解が難しい」という悩みを持つ三宅敦子さん。 人の語りで創作文も理解できたと喜び「自分と同じ悩みを持つ人にこの朗読会を紹介したい」と話した。【麻生美重、写真も】