同学園のロバート弓削PTA会長は「コミュニティーの他の団体に一緒に祝ってもらい古い歴史を持つ者同士が交流を深める良いきっかけになれば」と笑顔を見せた。
あいさつに立った村方園長は「90周年は価値あること」と節目の年を迎えた同学園に祝意を伝え「世界一の長寿国である日本の平均年齢は83・7歳。90歳である羅府中央学園はこの数字を超えたことになり、たいへんすばらしい。人間の平均寿命と異なり、創立100年を迎える学校は少なくない。羅府中央学園も100年、110年を目指してほしい」と激励した。
昨今の米国の大学授業料の高騰や日本における外国人の受け入れ拡大に鑑み、同学園は日本語能力を向上させて日本の大学への進学を実現させる新たな取り組みを模索している。高等部では日本語能力試験や米国の大学進学適正試験(SAT)に関連してプログラム内容の変革を推進。今年は協同システムから二人が日本の大学に合格するという成果もあった。日本での進学の経験を生かして視野を広げ、国際人として成長することが日米のためになるのはもちろん、縮小が危惧される日系社会を維持するためにも、日米両語を操れる人材は地域の宝となる。村方園長は「進学の選択の幅を広げていってほしい」と保護者や子どもたちを鼓舞する。
勤続年数の長い蔡正子主任、伊沢利子教諭、今井節子教諭、城石有珠子教諭には表彰状が贈呈された。通算で24年間勤務する蔡主任は「協同システムの他の学校でも主任を務めたので今後も教師は続けるが主任の職は引退する」と自身の今後を語る。
日本語も日本の文化も大好きという4人の子どもを持つ上村陽子さんは「歴史ある学校で学ばせることができ感謝している」。「日本語が好きという意識を持たせる。素地を作るのが親の役目」とし、それができる同学園の良さを語る。「日米両語が話せる貴重な人材に育っていけるようにバックアップしていきたい。親も負けないように頑張ります」と日本語維持に真剣な姿勢を示した。
準備に携わった弓削会長は「90周年の祝いをするのはたいへんだと周囲から心配されたが、やらなくて後悔するよりはできる限りのことをしようと思い進めてきた」。
参加者はみな 90年を振り返るスライドショーを楽しみ、学園の子どもたちによる「陽気ちび太鼓」に惜しみない拍手を送った。コミュニティーや後援会、かつての関係者らが一堂に会した心温まる祝賀会を終え、参加者は感慨もひとしおの様子で会場を後にした。【麻生美重、写真も】
城石有珠子教諭、蔡正子主任、今井節子教諭、伊沢利子教諭、