新型コロナウイルス感染拡大の非常事態によって影が薄くなってしまったが、国勢調査(2020センサス)は4年に1度のオリンピックよりも間隔の長い「10年に一度」のイベントである。さらに国勢調査は外出禁止発令の中でも参加できるイベントである。
マイノリティーのコミュニティーに貢献する団体がお互いの取り組みをシェアするこの会議に招待された米国下院カリフォルニア州第33区選出のテッド・ルー議員は、「連邦政府の予算は計算式によって分配される。計算式の元になるのは人口で、人口の元になるのが国勢調査。その結果を基準に、学校やコミュニティーセンターが使う予算が割り振られる。試算によると、もし回答しない場合、無回答者1人につき年間2千ドル相当の予算を逃すことになる」と説明した。「配分は次の調査まで変わらないので、10年で1人2万ドルを逃すことになる」と、回答の重要性を強調した。過去10年にアジア・太平洋系の移民は増えているが、現在はまだ前回の調査結果に基づいた予算配分を使っているのである。2020年の調査で正しく集計されることはとても大切だ。
ルー議員に続き、中国、韓国、日本、タイ、フィリピン、カンボジア、サウスアジアネットワーク(インドネシアなど)のコミュニティーサービス機関の代表がそれぞれの取り組みと呼び掛けを英語と自国の言葉でスピーチした。日本はLTSC(リトル東京サービスセンター)のコミュニティー・オーガナーザーの桂木靖恵さんが参加した。
桂木さんは、日本語を主に話すモノリンガルの日系人を支援する同センターの内容を紹介し、準備していた国勢調査のイベントは新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催できなくなってしまったが、ソーシャルメディアやニュースレターなどにシフトして周知のために活動していると話した。また、日本人と日系人に向けて、「ぜひ早めにオンラインで回答を」と呼び掛け、もしもオンラインの回答が難しい場合や、言葉の壁がある場合には、平日午前9時から午後5時まで(正午~午後1時を除く)の時間内に同センターに電話(213・473・3035)すれば「LTSCが日本語で手助けをするので利用してほしい」と話した。
国勢調査のオンライン回答を案内する手紙はすでに各家庭に郵送で送られている。手紙の中には、回答用のID番号が書かれている。回答するときにこのID番号があると手順が早く進むが、もしも手紙が来ていなくても住所から回答することができるので心配しなくてもよい。また、回答には同居している人の名前と生年月日を用意してから開始すると手際よく進み、所要時間は10分とかからない。
LTSCがこれまでに手助けした日本人の事例を桂木さんに尋ねると、「前回までの国勢調査では紙の調査票を郵送していたので、新しいオンライン方式に戸惑っている人が多いようだ。また、本当にオンラインで回答してよいものかと不安に感じている人もいるようだ」と、新しい方式に慣れない人々の戸惑いを指摘した。
オンライン以外には電話で回答することもできる。最初は英語のオペレーターにつながるが、「ジャパニーズ、プリーズ」と指定すれば、日本語のオペレーターに回線をつないでもらうことができ、その先は日本語で回答することができる。
発送されたID番号を基にした現在までの解答率は、全米レベルで36・2%、加州レベルで35・7%、LAでは32・0%となっている。そのほとんどがオンライン回答で寄せられている。解答率は毎週金曜にアップデートされる。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国民の回答期限が当初の6月31日から8月14日に延長されたが、ぜひ早めに回答して、連邦予算のあなたへの割り当て分をコミュニティーに届けよう。
国勢調査局のウェブサイト―
www.census.gov/
リトル東京サービスセンターのウェブサイト―
www.ltsc.org
【長井智子、写真も】