接客する三浦さん(右)カウンターには生きのいい魚が並ぶ
 アーケディアにある居酒屋「とんちんかん」の店主 が3月18日、魚市場直送の鮮魚の販売を始めた。新型コロナウイルス感染の拡大で売り上げが落ち込む魚市場の現状を知った三浦大和さんは、「互いに助け合えたら」とアイデアを実行に移した。
 レストランなどの自粛営業要請が出た翌日も三浦さんは普段通りロサンゼルス・ダウンタウンの2カ所の市場に仕入れに行った。その日の魚市場は通常の5%の売り上げにとどまっていた。持ち帰りや配達をしない高級店が軒並み店を閉めたため日本産の魚介類も多く売れ残っていたのだ。「値引きしてもらうなど普段から世話になっているので、少しでも手助けができれば」と、三浦さんは大量の魚介類を仕入れて帰った。
 交流サイト(SNS)のインスタグラムを利用し鮮魚販売の告知をすると、少しずつ魚を求める人が訪れ始めた。
山田さんが盛り付けたおいしそうなまぐろの造り
 すし職人山田浩彰さんは、友人である三浦さんの店がピンチと知り一緒に盛り上げようと手伝いを始めた。山田さんの妻、美奈子さんも友人知人とのSNSを使い「とんちんかん」の応援キャンペーンを張った。
 店のカウンターには、天然や養殖のアジ、サバ、タイ、キンメダイ、桜マス、ホタルイカ、タコ、熊本産カキや北海道産ウニ、サンタバーバラ産の大粒ウニなども並んだ。まな板の上には巨大なマグロの塊も。
 「市場や店にとってギリギリの価格」と三浦さんが話す通り、どの魚にも手頃な値札が付いている。
 三浦さんがアジのたたきやマグロの刺し身などの電話注文を受けると、山田さんともう一人のすし職人森川達也さんが魚をおろしていく。受け取りに来た客は豪華なマグロの刺し身を抱え「夕飯が楽しみ」と言いながら帰って行った。
 近郊に住む日本人女性はアーケディアの義理の母を訪ねた帰りに同店に寄った。キンメダイとマグロ、カキを買い「おろし立ての新鮮な魚が食べられるのでうれしい」と話した。
通常営業再開を目指しピンチに立ち向かい助け合う(左から時計回りに)山田さん、森川さん、三浦さん
 日本産の空輸がなくなって以降は地元で水揚げされた魚介類を主に扱っている。
 同店では居酒屋メニューを用いた弁当も販売。外出制限を守る社会の現状を踏まえ、同店では、できる限り手頃な価格で新鮮な料理を楽しんでもらうことや、弁当の種類を増やして充実させるなど努力を続けている。
 魚入荷の情報や持ち帰りメニューの詳細は、居酒屋とんちんかんのインスタグラム。  (www.instagram.com/tonchinkan_izakaya/)で。
 電話626・461・5078【麻生美重、写真も】

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