だが、いつも老若男女でにぎわっていた名物店にも新型コロナウイルスの営業規制が襲い、配達と持ち帰りに営業が制限された時、先の見えない厳しい状況に悩む山内さんに、同じ小東京でカフェ・ドルセを経営するジェームズ・チョイさん、リトル東京サービスセンターに勤めるロックリッジ真理子さん、レストランコンサルタント業の徳田護さんの3人の若者が、それぞれ個人の時間を使って山内さんに手を差し伸べたというのだ。
最初に山内さんの様子を仲間に伝えたのはジェームズさん。山内さんがフェイスブックやインスタグラムを始める手助けをしたのは真理子さん。フェイスブブックが開設され、山内さんは初めての投稿をした。
護さんは、インターネットもなかった店で、ウーバーイーツによるオンライン受注を可能にした。また、今や同店の自転車部隊が電話注文に応じて料理を出前するまでになったが、新型コロナウイルスの状況下でどのように商品を受け渡したら良いか、配達中に警察から呼び止められたらどのように対応するかなど、レストラン・コンサルタントならではのいろいろなアドバイスを提供した。
山内さんと若者との奮闘は、LAタイムズにも取り上げられた。
小東京の近所の若者とつながった山内さんは、初めてのフェイスブックの投稿の中で、「皆さん、今どきの小東京の若者は捨てたもんじゃないですよ、自分たちも大変なのに、他のお店も助けています。皆さん、どうぞ小東京を利用してください。この若者たちの将来のためにも」と結んだ。
ロックリッジ真理子さん
日英両語に堪能なロックリッジ真理子さんは、リトル東京サービスセンターのスモールビジネス・コンサルタント。同センターのスモールビジネス・アシスタンス・プログラムは新型コロナウイルスにより被害を受けた中小企業を支援する行政政策のリソース情報を発信している。
www.ltsc.org/smallbiz_covid19/
中でも特に関心が寄せられているCARES Actの「PPP(Paycheck Protection Program)」については真理子さんが日本語で分かりやすく解説している。これは、融資と負債猶予(免除の可能性を含む)に関する社員500人以下のビジネス向けの経済救済プログラムだ。
コンサルタント「シナプサズ」CEOの徳田護さんは、小東京のレストラン「FUGA」のゼネラル・マネジャーだった経験を生かし、飲食業の管理運営訓練、マーケティングやメニュー開発、規則順守のアドバイスを得意とする。今まで縁のなかったオンラインやSNSを導入したい飲食店には強い味方だ。最近は新型コロナで売り上げが落ち込んだ魚卸商がSNSのLINEを介して無駄なく効率的にビジネスを行っている事例などがあるという。「小東京のお店が悩んでいたらぜひ積極的に手伝いたい、コロナの期間中は無償でコンサルを引き受ける」と、小東京をこよなく愛する姿勢を見せる。ほかにコミュニティーケアサービスの「COCORO」のプロジェクトも始動し、小東京で買い物代行や送迎サービスが必要な場合はこちらもコロナ期間中は無償で引き受けるという。連絡は電話626・391・2110。
ジェームズ・チョイさん
小東京ビレッジの「Cafe Dulce」店主のジェームズ・チョイさんは2010年から小東京のビジネスオーナーとして活動し、小東京コミュニティー委員として昨年10月のハロウィーンのイベントを成功させたほか、現在進行中の「コミュニティー・フィード・コミュニティー」を率いるなど、小東京の活性に情熱を注いでいる。
【長井智子、写真提供=ロックリッジ真理子さんとアントニー・マーシュさん】