弁当の提供先をLAFDに決めた理由は、5月16日夜に小東京に隣接する倉庫から火災が発生した際に消火活動を行い、被害が小東京に広がるのを防いだためである。数回の爆発が起きる危険の中で、約200人の消防士が炎に立ち向かい、11人が負傷、うち2人が入院した。英雄に対し、小東京コミュニティーからは「命を懸けて、リトル東京を守ってくれた」と称賛の声が上がった。
キトウさんは、日系人DJと日本で活動するDJのネットワーク「HASHI (橋) CO」のメンバー、ジェイソン・リーさんに協力を求めた。快諾したリーさんは、日米からアーティスト13人が参加した資金集めのバーチャルコンサートを5月31日に開催し、2千ドル以上を集める成果を上げ、プロジェクトは大きく前進した。
リーさんはまた、前出の火災事故で活動に当たった消防士を支援する活動を考えていたことから、同プロジェクトへの協力を快く引き受けたという。
プロジェクトは小東京にフォーカスを当て、弁当の提供は居酒屋「ゑびす」「大政」「鮨元」「TOT(定食屋オブ東京)」「酒道場」の5店が行い、酒道場でボランティアスタッフが箱詰めを手伝った。カリフォルニアロールがメニューに採用されたのは、1960年代に小東京で開発されたからで、プロジェクトに花を添えた。
弁当は小東京を受け持つ三つの消防署と西本願寺近くのディスパッチセンターの計4カ所に贈られた。小東京防犯協会のオフィスである交番前には、はしご車や救急車がピックアップにやってきた。日系社会が期待を寄せ
MTCの金井敦子副社長は、活気があった小東京がパンデミック後に見違えるような閑散とした姿を目にし「ほとんどの店が閉まっていて寂しい」と嘆く。「ほとんどの小東京のレストランは個人経営なので今の状況は厳しいが、テイクアウトで頑張っている」と期待を寄せる。プロジェクトについては「店の人の気分が少しでも晴れればと思って始めた。消防士に弁当を配り、リトル東京もコミュニティーが団結できたのがよかった」と述べた。
JRA会長の増田さんは「リトル東京を守ってくれている消防士に喜んでもらいとても印象的だった。スタッフも久しぶりにカリフォルニアロールがたくさん巻けてうれしそうで、本当にいいプログラムだと実感した」と述べ
小東京防犯協会会長のキトウさんは、小東京で約120年続く和菓子店「風月堂」のオーナー。経営は何とか持ちこたえているというが、他の小東京の店舗、特にレストランは厳しい状況が続いているとし「リトル東京は競争の激しいビジネス地区で、ただでさえ生き残りを懸けた挑戦があるのに、コロナで本当に苦しくなった。自分の店も大変だけど、他の近所のビジネスが困っているのを見ていられなくなった」と語り、プログラムを実行したという。今後のプログラムの展開について、メトロの地下鉄工事で封鎖されている1街(サンペドロとセントラル)を利用し、テーブルと椅子を置き、屋外飲食ができるスペース設置を目指し、飲食店を支援する考えを示した。