帰省中の日本の夏はコロナと熱中症対策で終わるかと思えたが、9月に入ると立て続けに9号10号と台風が登場し、ニュースも台風一色となった。
 特に10号は、その大きさと強さが並はずれているとして、気象庁と国土交通省が共同で異例の記者会見を開き、「(鹿児島上陸12時間前には)特別警報発令の可能性がある」と発表。「大型で非常に強い台風」から命を守るため早目の避難を促した。
 台風の大きさは、風速15メートル以上の強風域の幅で決まり、大型と呼ばれるのは強風域の半径が500キロメートル以上の場合とか。サテライト写真でも大きな渦が見えた。
 そして、台風の強さ(勢力)を決めるのは、中心気圧の低さと中心付近の最大風速。子供のころ聞き慣れた気圧単位はミリバールだったが、1992年から国際単位系のヘクトパスカル(hPa)に変わっている。今回の10号は、北上中に一時920ヘクトパスカルという超低気圧と報じられ、どうなることかとやきもきした。
 私は四国・高知で、妹は九州・福岡の実家で台風の進路を注視。9号台風で道具小屋が横倒しとなった福岡の実家では、10号の九州接近に備え小屋を木にくくり付け、畑の野菜に添え木をあて、テレビの台風情報に見入っていたとか。進路から外れているものの台風上陸に慣れている高知では、雨戸もシャッターも閉め、カーポートなどをロープで補強し、停電・断水への備えも確かめて早々に床に入った。
 特別警報の出る要件は、中心気圧930ヘクトパスカル以下または中心付近の最大風速が秒速50メートル以上であることだという。結局、10号台風は幸いなことに特別警報の出るまでに至らずに終わった。被害も、予想されたよりは少なくて済んだようだ。
 それにしても、近頃は「50年に一度の」だの「これまでに経験したことのない」という災害が続く。台風は、高温の海面から蒸発する水蒸気を原動力にグングンと勢力を強める。そして海面温度は以前より上がっているのだと。台風もハリケーンもサイクロンも、こうして地球温暖化の影響を強く受けていくのだろう。これを無視することなく対策を立てることの必要性は明らかだ。【楠瀬明子】

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