ZOOMを利用した会議で、小東京タワーズの修復プロジェクトの進捗状況について説明するコンサルタントのミッチ・トンプソンさん
 小東京の3街に位置する高齢者集合住宅で、建築から45年が経ち老朽化が目立ち始めている小東京タワーズ(LTT)の理事会はこのほど、その修復計画についてコミュニティーに説明した。修復プロジェクトの進捗状況を報告、工事業者としてサンディエゴを拠点とする廉価住宅開発の「RAHD」グループを決定した。

 2018年、ロサンゼルス市はLTTに対し、同建物には構造工学上の検査と評価が必要であり、場合によっては現代の耐震基準に合わせた大規模な構造補強工事が必要になる可能性があることを通知した。
 LTTは、小東京の高齢者向けの手頃な価格の住宅の必要性に対処するために1975年に建てられた。小東京の人の流れが長年で変わったのと同様に、同住宅でも住人の居住模様は変化した。日系米国人の高齢者は現在、韓国系米国人に次ぐ2番目に大きな住民グループである。理事会のボブ・カワハラ理事長は、建物の手入れは行き届いているが、耐震改修以外にも大規模な改修工事が必要であると述べ、新しいエレベーターの設置、内部ユニットや共用エリアの拡張、省エネウインドウ、各居室の改装、配管、電気、空調、非常用の各設備の修理や取り替えを挙げた。
 すべての作業を完遂するためのコストは、3500〜4500万ドルの範囲と見積もられる。業者の最終選考には5社が残り、各社が提示した案を検討した。選考委員会には、LTT創設の4組織(南加庭園業連盟、ロサンゼルス仏教連合会、JACL南西部地区評議会、南加キリスト教教会連合)の代表者も加わった。
 RAHD社がこれまでに手掛けた同種の修復事業として、サンディエゴ郡チュラビスタにある高齢者集合住宅「キク・ガーデン」(100ユニット)の実績がある。

修復工事の説明会では、多くの資料が使われた
 「RAHD社には経験、知識、能力があり、計画を成功に導くと確信している」とカワハラ氏は述べている。
 このプロジェクトでは、金融機関やその他の企業が連邦税額控除を見返りとして投資する「低所得住宅税額控除連邦プログラム」を利用する。 理事会は、コンサルタントのミッチ・トンプソン氏の支援を得て、RAHDグループに対してLTTの所有権のいかなる譲渡も伴わない取引について交渉した。
 現在、LTTにはHUD(米国都市住宅開発省)の「セクション8」低所得者住宅ユニットが180居室あり、これらのユニットの賃貸料は約675ドルである。居住者は状況に応じて、その内の約250〜300ドルを支払っている。次の段階の一つはHUDとの契約期間を20年に延長し、政府からの助成金が市場価格を反映した金額に増額されるよう、再交渉することである。
 先月19日に開催されたズーム会議の席上で、一部の出席者は家賃の手頃さについて質問した。セクション8以外のユニットは120ユニットあり、そのうち30ユニットは月額1091ドルで新しいテナントに賃貸されている。
 既存の居住者の家賃はすべて、ロサンゼルスの家賃管理規則で管理されており、家賃引き上げの許容範囲は対前年比3〜4パーセントに規制されている。すべての家賃は市場価格を大幅に下回り、平均収入がロサンゼルス地域平均の60%程度の世帯に向けた低所得住宅が月額約1250ドルであることと比べても、下回っている。
 現在の水準の賃料が続くと、建物の耐用年数を延ばすために必要とされるすべての必要な作業を行うのに十分な資金を得ることが不可能になる。理事会は、場合によっては支払い能力に応じて契約家賃との差額を補助する民間の家賃補助プログラムを作成することを検討すると述べた。このような基金の創設は、利用可能な資金を見つけ、資金を調達できるかどうかにかかっている。
 これから2021年1月まで、RAHDは小東京タワーズが資金源を特定し、資金調達パッケージをまとめ、税額控除と債券承認の割り当ての申請提出をする準備を支援する。工事は21年6月開始、22年12月ごろ終了を計画している。
 詳細に関する問い合わせは、lttowersmailbox@gmail.com
【グエン・ムラナカ、長井智子】
小東京タワーズ(後方)は、韓国系を筆頭に多くの高齢者が暮らす。1975年の建築から45年が経ち、老朽化が目立つため修復工事が計画されている

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