今はコロナで中断しているが、今年で創立43年のバレーボールリーグに参加させてもらっている。平日の夜、人種も年齢もさまざまな男女がジムに集い、親子はもちろん、孫たちとチームを組む祖父母もいて、排球魂が世代を超えて引き継がれている。
 近年、久々にコートへ戻ってきたポール君も、同リーグでプレイするご両親を見て育った日系人だ。スポーツにはその人の性格が顕著にあらわれるものだが、ポール君は、母親世代のプレーヤーにはアタックを手加減してくれる、心優しい好青年である。2016年に白血病を患ったが寛解し、情熱を燃やす映画製作などに打ち込んでいたのだが、昨年末、白血病が再発したとの嫌な知らせがリーグから届いた。治療を受けながら、今も骨髄移植の適合者を探している。
 異人種の登録者が多い骨髄バンク「Be The Match」によると、大人の患者に適合するドナーが見つかる割合は、組織の複雑度の違いから、白人で77%、ヒスパニック系で46%、アジア系で41%、アフリカ系で23%と人種間で差が大きい。29歳のポール君は、父親がユダヤ系白人、母親が日系人のバイレイシャルで、これがドナー探しをさらに困難にしている。
 アジア系を中心に骨髄ドナーの募集や登録を行っている「Asians for Miracle Marrow Matches(A3M)」によると、混血者のドナー登録数は全体の7%のみ。コロナ禍でドナー登録を呼びかけるイベントが激減し、新規登録者数は半減しているという。
 私も約20年前にドナー登録をした。その後マッチの知らせを受けることなく今に至り、18歳から44歳までという、移植成功率が高いドナー対象年齢を超えたが、これまでに、「A3M」を通じてドナーになった人は700人以上おり、ミラクルは起きている。
 アメリカでは毎年、3万人以上が命に関わる血液の病気にかかっているという。それら患者のうち、家族間でマッチングドナーが見つかる人はわずか30%で、70%が非血縁者からドナーを探す。「Be The Match(bethematch.org)」では、ほおの内側を綿棒でこすり封筒で送り返すだけの無料ドナー登録キットを準備し、登録者増加へ取り組んでいる。
 移植を必要とする人たちに、1日も早くドナーが見つかることを願い、ポール君と再びバレーができる日を待ちたい。【平野真紀】

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