一昨年、サンディエゴで開かれた満席の年金セミナー。今年はオンラインで開催される
 日本の国民年金に対する米国の棚ぼた排除規定(WEP)を是正する運動を行うNPO「年金サポートセンター・オブ・アメリカ(NSCA)」の市川俊治さんが27日(土)午後3時から5時まで、ズームによるオンラインセミナーを催す。

 日本の国民年金と米国のソーシャル・セキュリティー・ベネフィット(Supplemental Security Income=SSI)を同時に受け取る場合、SSIが減額されるというケースがある。これはソーシャル・セキュリティー・アドミニストレーション(SSA)が定義する「Windfall Elimination Provision(WEP)」というルールによるもの。「棚ぼた排除規定」とも呼ばれる。だが、厚生年金とは違って居住が基となる国民年金は、本来WEPの対象外であるはずという。

日米の年金セミナーで講師を務める市川俊治さん
 講演は日米の年金を現在受給中、または将来受給する予定の人が対象。参加費は無料。日本語で行われる。日米の年金の知識を深めたい人にも最適だ。
 講師の市川さんはニューヨークとシカゴでの駐在8年を含む38年間の民間企業勤務の後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランテイア制度の第1期生として在ニューヨーク総領事館に3年、さらに在サンフランシスコ総領事館に3年勤務。民・官での経験と知識を基に東京新宿に「海外年金相談センター」を設立し、Eメール、電話などで寄せられる海外在住者からの「年金」「国籍」「老後の日本帰国」の相談をボランティアで受けている。
 市川さんは同センターのホームページで「領事相談員として海外で暮らす在留邦人から多くの種々な相談を受けたが、この体験を通じて在外邦人への日本の年金支援の重要性、また、国籍の問題・老後日本での生活の問題についてのアドバイスの必要性を強く感じた」と、設立の動機を述べている。
 2019年に来米した際には6都市を訪問し、講演と個別相談を行った。南加で唯一サンディエゴで開催した講演相談会には、会場に収容しきれないほどの人が詰めかけ、年代を問わない関心の高さが浮き彫りになった。
 米国側の年金が減らされてしまうWEP問題については18年からワシントンDCの米国大使館あてに投稿キャンペーンを展開しているが、まだ解決には至っていないという。今回のセミナーを主催するNSCAは、市川さんの活動に賛同したシカゴの藤本光さん、サンディエゴのガラスキー秀子さんら有志とともに2020年7月にカリフォルニアに設立したNPO法人。WEP誤適用の問題を早期解決するために市民活動を行い、多くのシニアの年金が間違って減額されている問題を是正することを目的とする。
 セミナーの内容は、①日本とアメリカの年金制度の概要②日米社会保障協定とは③ 棚ぼた排除規定(WEP)とは④NSCAの活動と今後の方向性。
 参加はオンラインで申し込み、ズームの招待を受け取る。申し込みのURLは—
 https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZMtceirpjIoHNOejsMoLxmPvem38S5HURc8/success?user_id=T2MYqbTOTASUcptQH2ryuw&timezone_id=America%2FLos_Angeles
 またはNSCAのウェブサイト— 
 nenkinsupportcenter.org/
 問い合わせはガラスキー秀子さんまで、電話858・382・9732。またはメール—
 info@nenkin-usa.net

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