118人が亡くなったケイアイ・ロサンゼルスおよびサウスベイは共にパシフィカ社が経営するが、2施設を合わせた新型コロナウイルスの感染死亡率は州内で最も高いとロサンゼルスタイムズが伝えている。同社はまた、ボイルハイツにある「さくらガーデンズ」の90床の中間介護施設(ICF)から入居者を退去させ、多世帯用アパートに改築する計画を進めている。
追悼集会は、日没ごろからスタートし、ハシモト・プラザで行われたキャンドルライト点灯でクライマックスを迎えた。東本願寺別院の伊東範昭輪番は、故人をたたえることの重要性を強調し、また2月27日に同院で起きた破壊行為に対する支援に感謝の意を表した。同院の修繕費用やセキュリティーシステムなどのために立ち上げられたクラウド・ファンディング・サイト 「GoFundMe」では、当初の目標額をはるかに上回る9万ドル以上の寄付金が集まったという。
小東京、ボイルハイツ、ダウンタウンLA、コリアタウンなどを選挙区とするミゲル・サンティアゴ州議会議員(民主党・ロサンゼルス)は、「われわれは今、自分たちの住む地域で起きている問題に対し、平等を唱え、不正に対して声を上げる時を迎えている」と主張。また、「高齢者を路上に追い立てることは絶対に許されない。高齢者をないがしろにするということは、多くの州民にけんかを売っているのと同じだ」とパシフィカ社への見解を述べ、「どの地域においても、人がたくさん亡くなるということは痛ましく不名誉なことだ。ましてや、パンデミック当初には、アジア文化を目の敵にしていた大統領もいたというのに」と述べた。
アル・ムラツチ州議会下院議員(民主党・トーレンス)は、「今アジア系米国人は、新型コロナウイルスと、全米で頻発しているアジア系米国人に対するヘイトという二つのパンデミックに直面している」と参加者に語り、さらに、パシフィカ社が、入居者やその家族に告知せずにケイアイ・ロサンゼルスを新型コロナウイルス指定施設にしたことを問題視した。「ケイアイ(敬愛)」の意味になぞらえて「これは敬いの心や愛がない行為だ」と指摘した。
追悼集会は、「Save Our Seniors(SOS)」の共同議長であるデビッド・モンカワ氏とトレイシー・イマムラ氏によって企画され、イーストLA太鼓による演奏も行われた。集会では、ファミリー・カウンシル代表のフランシーン・イマイさんをはじめ、浄土真宗本願寺派のレイ・フクモト師、日系人権救済団体のジャン・イェン氏、日系プログレッシブのマーク・マサオカ氏、小東京歴史協会のミヤ・イワタキ氏、太平洋南西地区JACLのナンシー・タカヤマ氏、セントロ・コミュニティー・サービス・オーガニゼーションのカルロス・モンテス氏、チャイナタウン・コミュニティー・フォー・イクイタブル・デベロップメントのティファニー・ラム氏、ロサンゼルス韓国系米国人連盟のジェームズ氏、フェイス・ユナイテッド・メソジスト教会のアリソン・マーク師らが登壇し弔辞を述べた。
【エレン・エンドウ、訳=砂岡泉、写真=マリオ・レイエス】