世界的にコロナ禍の行く末がワクチン次第である程度は見通せる状況になってきた。もちろん世界の地域ごとに感染もワクチンも進行度が異なるから世界状況は地域別なまだら模様ではある。
 日米を俯瞰(ふかん)すると、米国はワクチン接種も第一回目が国民の6割ほどに進み、どうやら終わりの始まりが見えてきた感じだ。まだ時間は必要だがトンネルの出口が先の方に見え始め普通の生活に徐々に戻りつつある印象。米国は人種、政治、文化等の分断があり、ワクチンもこの先は共和党右派の一部や原理主義的な宗教信者などワクチンを信じないとか拒否する層があり進行は遅くなる可能性がある。だがワクチンが6割を越せば国全体としては集団免疫と収束に向け落ち着いていくと言われる。土地も人口も巨大な国家だが接種を始めるや接種の場所も巨大な会場を使ったり注射の打ち手も医師、薬剤師に留まらず歯科医、救急救命士、助産婦、獣医師などに広く拡大し、動き出すとやり方が巨体に似合わず柔軟で迅速で、米国らしい。
 一方日本の対応は去年の1月頃から見てずっと後手後手が続き、適時性や迅速性が無いのは明白で世界でも周回遅れの状況だ。国民の生命、健康を守るべき政府は無能と国民から怒られても仕方ない。もっとも米国も去年1年間は状況の悪化が続くままに悲惨であったし、国の好転はバイデン大統領就任の1月以降、ほんのここ数カ月の動きだ。日本のワクチン確保と接種開始は欧米に比べ非常に遅く、医療従事者と高齢者への接種が各自治体で始まっているのと、防衛省が東京と大阪に巨大会場を設営したが、まだスピード感は無く先が長い。接種の予約取得にも大都市住民は苦労してきた。
 ただ日本の接種進行は欧米より時期が遅いが、国内感染状況に対しては世界比較で悪いとも言えない。例えば米国の接種が動き出したのは感染者を世界最大の3400万(人口の10%以上)も出し、また死者も桁違いに世界最大の60万人近くも出してからの事だが、一方日本の感染者は現時点で約70万人(人口の約0・5%)で、死者数は約1万2千人。感染の人口比率で、日本は米国の20分の1である。
 何はともあれ今後のワクチンの迅速進行を期待する。【半田俊夫】磁針

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