1992年ブラジルで開催された地球環境サミットで、カナダの日系4世、セヴァン・スズキが子供代表としてスピーチをしました。当時12歳だった少女の言葉は、大人たちを戒めました。地球が壊れていっているのを分かっていながら政治や経済を優先して、地球環境を破壊し続ける先進国の私たちの行動。余分に作っては捨て、自分の富を分かち合わない私たちの行動。未来の子供たちに今、何が大切なことなのかということを、深く突き刺さるメッセージを残しました。出席した大人たちに「あなたたちは地球のオゾンホールの穴をふさぐ方法をしっているの?」「あなたたちは、絶滅していく動植物を再生することができるの?」「死んだ川に魚をよみがえらせ、砂漠になった土地に森を再生させる方法を知っているの?」と問いかけます。そして「どうやって直すかわからないものを、どうか壊し続けるのはやめてください」と訴えました。これは伝説のスピーチと呼ばれています。
 例えば、キューバ。旧ソ連崩壊後、資源不足に陥った国民は今ある資源をできるだけ有効に使うような生活になったそうです。化石燃料を使う車は、できるだけ多くの人を乗せて運行するようになり、新しい物を買い、捨てる文明的な生活よりも資源をリサイクルして利用する生活基盤があります。かつての江戸の暮らしもそうでした。生活廃水を農家が回収し、肥料にして野菜をつくりました。冷蔵庫がないので近場での地産地消の循環型の生活様式がなりたっていました。質屋も物を有効に循環させる役割を担っていました。
 私たちのほとんどは電気を無駄に消費することに慣れ、電気がない生活を空想しようともしません。便利で新しい物が溢れる生活と引き換えに、地球環境の破壊という大きなリスクのある生活を選んできました。「私たちは地球という大家族の一員である」と、日本の血を引く少女が発言した意味をもう一度問いかけるべきです。【朝倉巨瑞】

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