2日の警察庁発表によると東日本大震災発生後、ピーク時の約47万人に比べれば減少しているものの、いまだに約10万人弱の被災者が2500カ所の避難所で不自由な生活を強いられている。
 一方ですでに仮設住宅や民間の賃貸住宅に入居する人が増え、新たな生活環境を整え始めている。
 いずれにしても仕事、家、財産を失い困窮している人には当座の生活を確保するためにも一番必要なのは現金。
 だが、5月27日現在で日本赤十字などに集まった義援金の総額は約2400億円に上るも、配分済みは全体の12%にとどまっている。義援金は配分割合決定委員会によって配分割合が決められ、算定された割合が被災した15都道県に配分される。
 そして各都道県にも義援金配分委員会が設置されており、地域の被害状況によって配分が決められる。そこで決められた金額が、市町村を通じてようやく被災者に交付される。
 義援金配分に必要な罹災証明を発行する市町村職員にも多くの犠牲者が出ているため、人員不足で手続きが思うように進まな いという。日本国内にとどまらず世界中から善意が集まっているのに、必要な人の手元に行き渡っていないのは何とも歯がゆい。人員を確保して、手続きをス ピードアップさせるなど、義援金ひとつとってもやらねばならないことは山積みだ。
 震災から約3カ月経つにもかかわらず復興作業は進まず、福島第1原発事故収束の目途は立っていない。菅内閣に対する不信任決議案は2日、菅首相が復興の目途がついた段階で辞任を表明したことで、反対多数で否決されたが、このような状況で被災者を無視した政争に多くの有権者は怒りをあらわにしている。
 震災後の菅首相のリーダーシップ不足は明らかだが、仮に不信任案が可決されれば、民主党は分裂し政界は混乱、さらに支援が遅れるのは明らかだ。被災者支援、被災地復興を第一に考えれば、与党、野党ともに一致団結して、日本再生への道を明確にすべきではないか。【下井庸子】

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