ニューヨークウォール街で始まった反格差社会デモは世界各地に広がり、ロサンゼルス・ダウンタウンの市庁舎前には今も1000人近い参加者がテントを張り、占拠運動を続けている。
 昨年の米国の貧困者(4人家族の場合で年収が2万2314ドル以下の世帯)は4618万人と1959年の統計公表以来の最多数を記録。デモ拡大の背景には、こうした長引く不況や生活苦、失業など一向に改善しない経済への不満がある。
 当初はそうした不満から勃発した抗議デモだったが、今ではその主張も多様化。教育関連予算の削減から実施されたLA統一学校区の教員解雇や、州立大学の度重なる授業料引き上げに反対する声、「Go Green」を叫び「環境破壊を食い止め地球環境に優しい生活を」と呼び掛ける人や、マリファナ合法化を訴える人などさまざまだ。
 年齢層も大学を卒業したばかりの若者から、60代までと幅広く、参加者はインターネットでの呼びかけに応じ瞬く間に増えていった。
 デモの長期化に伴い使われる税金も半端ではなく、LAでは8人の警察官が24時間体制で警備にあたり、その費用はおよそ4万5000ドル。テントが張られているため広場の芝も傷み、被害総額は5万ドルに達した。LAだけでなく、サンフランシスコでは10万ドル、ボストンでは200万ドル、ニューヨークでは340万ドルの経費が使われている。
 座り込み運動の退去を求める警察側とデモ隊との間で衝突も起こり、カリフォルニア州北部オークランドでは97人、サンディエゴでは51人、ロングビーチでも2人の逮捕者が出ている。
 今のところLAのキャンプで強制退去は行われていないが、いつその日を迎えるか分らない。
 CBSニュースが行った最新の世論調査によると、43%が一連のデモを支持する一方、LAでは「マリファナのにおい漂うキャンプに、人々はただ集まっているだけ。具体的な行動を起こしていない」とキャンプを去る人の姿も出てきている。
 リーダー不在で目的意識も主義主張もさまざまな社会デモは、今後いったいどこに向かっていくのだろうか。【吉田純子】

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